さいたまダービーに懸ける熱い思い=大宮が“好敵手”浦和に挑む

土地将靖

ダービーを知り尽くした男

ダービーを知り尽くしたマトは浦和の攻撃陣を抑えることができるのか 【Photo:アフロ】

 さいたまダービーという特別な試合で、大きな力となりそうなのがマトだ。2002−03シーズンから3シーズン、マトがクロアチアのハイデュク・スプリトで経験したディナモ・ザグレブとのナショナルダービーは、「世界でも五指に入る」(マト)規模と激しさを持つ。
「もちろん、どの試合も勝ち点3を取るという意味で重要な試合だ。だけど、ダービーマッチは、わたしにとって“それ以上大事なものはない”とまで言えるほどのものなんだ。持っているものすべてを、最大限に出し尽くすつもりだよ」

 プレー面での力量は、これまでの試合で立証済み。ダービーを知り尽くした男が、この東洋の地での新たなダービーで、どれほどのものを見せてくれるのか注目したい。

 また、今シーズン新たにJ2から加入した2人のストライカーも、さいたまダービーを心待ちにしている。
「初めての経験なので、すごく楽しみですね。湘南ベルマーレの時も、横浜FCとの神奈川ダービーで、特にサポーターの方々が意識していて、その熱い気持ちが伝わってきました。やっぱり同じところにあるチームには負けたくないですよね」(石原直樹)

「サガン鳥栖のときも、アビスパ福岡との九州ダービーは楽しかったです。さいたまダービーはそれよりももっとすごいと思うので、何としても出たいですね。あの中でやってみたいと、アルディージャに来た時からずっと思っていました」(藤田祥史)

負けられない戦いを前に

湘南ベルマーレから移籍してきた石原は初めてのさいたまダービーに意欲を燃やす 【写真提供:大宮アルディージャ】

 2人に共通するのは、知らぬ者の強み――未体験だからこそ、思わぬ力を発揮することも期待できる。そして、この後に続くコメントも共通項をはらんでいた。
「埼玉スタジアムでの開催なので、もしかしたらレッズサポーターの方が多くなってしまうかもしれない。でも、そうなったら逆に“だからこそやってやろう”という気持ちになりますよね」(石原)
「真っ赤な方のサポーター席を、自分のゴールでシーンとさせることができたら最高ですね」(藤田)

 自分のクラブが、ライバルに対してさまざまなビハインドを負っているのは承知の上。その上で、サポーターに至極の喜びを提供しようと張り切っている。

 何より、指揮官の思いは大きく、深い。
「今、あまりにもさいたま市で、あるいは日本で、皆さんの思いはレッズというビッグクラブに傾いてしまっている。われわれアルディージャもいるんだ、レッズとほぼ互角に戦えるようになったアルディージャがここにいるんだ、ということを今年は見せたい。そう思いながら、さいたまダービーを興味深く待っています」(張監督)
 5月24日(日)16時、熱い戦いの火ぶたが切って落とされる――“橙想心”(とうそうしん)を胸に。

<了>

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2009J1 第13節  大宮アルディージャ vs 浦和レッズ
5月24日(日)16時キックオフ 埼玉スタジアム2002

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著者プロフィール

1967年1月28日、埼玉県生まれ。93年、現在のWEB版「J's GOAL」の前身である試合速報テレホンサービス「J's GOAL」にて、試合リポーター兼ライターとして業界入り。2001年よりフリーランスとなりライターとして本格活動を開始、大宮アルディージャに密着し週刊サッカーマガジン(ベースボール・マガジン社)ほか専門誌等に寄稿している。

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