三沢、潮崎組が逆転でタッグリーグ初優勝=ノア

高木裕美

三沢(右)、潮崎組が逆転でタッグリーグ初優勝を果たした 【t.SAKUMA】

 プロレスリング・ノア「グローバル・タッグリーグ’09」(GTL)最終戦となる6日の日本武道館大会では、GTL公式戦4試合及び、ノアvs.新日本プロレスの対抗戦2試合が行われ、連休最後の日に9000人を動員した。
 GTL戦は4.11後楽園ホールで開幕し、全8チームが約1カ月にわたって全国各地で総当りリーグ戦を開催。全公式戦終了時の最多得点チームが優勝となる方式の末、三沢光晴&潮崎豪組が大逆転優勝を飾った。

 この日の公式戦開始前には、残り1試合を残した状態で、佐々木健介&森嶋猛組、バイソン・スミス&齋藤彰俊組、力皇猛&モハメド ヨネ組の実に3チームが1位タイ(8点)で並ぶ混戦状態。1点差の7点で4位と一歩出遅れていた三沢組だが、先に行われた公式戦でバイソン組、力皇組がいずれも敗れて8点で足踏み状態となったため、「勝てば優勝」という絶好のチャンスを得て最後の公式戦に臨んだ。

GTL優勝の潮崎がGHC2冠取り宣言

随所に繰り出した連係技も光り、規格外のパワーを誇る健介・森嶋組を粉砕 【t.SAKUMA】

 「勝っても引き分けでも優勝」と若干のアドバンテージがある健介組は、森嶋の145キロの巨体を文字通りの「武器」代わりにし、デッドリードライブや雪崩式ブレーンバスターで投げつけるという荒業を連発。パワフルかつ常識の域を越えた合体攻撃を矢継ぎ早に仕掛け、潮崎をローンバトルに追い込んでいく。
 しかし、潮崎は健介の逆水平チョップを受けても、森嶋のモリシハンマーで首がもげそうになる程の衝撃を受けても、決してあきらめず。健介のラリアット、森嶋のバックドロップといったフィニッシュ級の猛攻にも耐え抜き、三沢との連係や合体技も随所で繰り出すと、ムーンサルトプレスからの豪腕ラリアット3連弾で森嶋に勝利。昨年は田上明とのコンビで最下位に終わったGTL戦を、今年は見事優勝で飾った。

 試合後、リング上で勝利者インタビューを受けた潮崎は「これをステップに、もう1回GHCに挑戦したい。次はこの武道館でやりたい」と、4.19札幌で王者・秋山準に阻まれたGHCヘビー級王座取りを宣言。「当然、タッグも取らせてもらって、チャンピオンが文句を言えない立場になる」と、まずは三沢とのタッグで、現在齋藤&バイソン組が保持しているGHCタッグ王座に狙いを定め、GHC2冠獲得を視野に入れた。

 「今日は何もしてない」というほど潮崎に全幅の信頼を寄せて戦っていた三沢も、「今日は飲み代はオレのおごりで」と労をねぎらい、共に手を挙げて優勝の喜びを分かち合った。

小橋が天山にモンゴリアンチョップを炸裂!

小橋(右)が初対決の天山になんとモンゴリアンチョップを炸裂! 【t.SAKUMA】

 新日本プロレス1.4東京ドーム大会で本格開戦した団体対抗戦もさらに白熱。この日は2試合が行われ、第5試合では“鉄人”小橋建太が伊藤旭彦と組んで、天山広吉、岡田かずちか組と対戦した。
 小橋は07年12月に腎臓がんから546日ぶりに奇跡の復活を遂げるも、再び右ヒジの手術のため欠場。今年の3.1武道館で176日ぶりの復帰戦を行うと、「新たなステップ」として新日本との対抗戦への出陣を決意。相手の天山もこれまで頚椎損傷や網膜はく離といったケガに何度も泣かされながらも、そのたびに不屈の闘志で這い上がってきた相手だけに、念願の初対決はいきなりのチョップで幕を開けた。

 5.3福岡で約4カ月ぶりにリング復帰を果たしたものの、これまで3戦2敗とまだまだ本調子とはいえない状態の天山を覚醒させるかのように、小橋は序盤から逆水平チョップを連発。10分過ぎには天山をコーナーに詰めてマシンガンチョップを連射するも、天山が得意技のモンゴリアンチョップで反撃してくると見るや、さらに激しいマシンガンチョップから、何とモンゴリアンチョップまで炸裂。しかし、天山も胸元を真っ赤に腫らしながらも、頭突き、ダイビングヘッドバットで食い下がる。
 しかし、小橋は場外で天山が伊藤につかまっている間に、新日本の未来のエース候補である岡田を剛腕ラリアットで粉砕。試合後は天山とリング上で視線を交し合った。

 試合を終えた小橋は「思った通りの熱い選手だった。またベストになればやっておもしろい」と3日前に復帰したばかりの天山の完全復調を待っての再戦を志願。天山のお株を奪うモンゴリアンチョップについても「天山選手の熱い気持ちに応えたつもり」と、技と技、気持ちと気持ちでぶつかり合った証と語った。
 さらに、この対抗戦での勝利で、心の中に燃え盛る戦いの火がさらに勢いを増した小橋は、かつてのタッグパートナーであった秋山準との合体を表明。第7試合終了後、DIS OBEY(力皇&ヨネ)に襲われている秋山のもとに駆けつけ、リング上でガッチリと握手。かつて全日本プロレスマットを席巻した秋山とのユニット「バーニング」のように、再びトップ戦線へ殴りこみをかけることをアピールした。

新日本ジュニアとの対抗戦がさらに白熱

試合後にはライガー、金本とノアジュニア勢が視殺戦! 【t.SAKUMA】

 金丸義信&平柳玄藩組vs.獣神サンダー・ライガー&金本浩二組のジュニアヘビー級対決では、新日本ジュニアの重鎮コンビが快勝。しかし、試合後は5.30後楽園で開幕する新日本のジュニアの祭典「ベスト・オブ・ザ・スーパーJr」に参戦が決定した菊地毅、青木篤志の2選手や、金丸のパートナーである現GHCジュニアタッグ王者の鈴木鼓太郎もリングに上がって視殺戦を繰り広げ、両団体の因縁をさらに深めた。

 両団体のジュニア対抗戦は02年2.17武道館の金丸&菊地vs.ライガー、井上亘戦からスタート。同年夏から04年夏までの約2年間、IWGPジュニアタッグ、GHCジュニアタッグ、GHCジュニア王座をめぐって熱い戦いが繰り広げられ、03年のスーパーJrには杉浦貴が参戦を果たし、決勝トーナメント準決勝で金本に敗れている。
 その後、しばらく交流がとだえていたが、昨年、GHCジュニアタッグ王座をめぐってNO LIMIT(裕次郎&内藤哲也)がノアマットへ乗り込んできたことで再び開戦した。

 平柳は今回の一戦を前に、「超神カイザーや喧嘩番長の仲本工事とやりたい」とわざと相手の名前を間違えるなどして新日本勢を挑発。実際に、いざリング上で相手と顔を突き合わせてみてもふてぶてしい態度は変わらず、ライガーのマントを装着してコーナートップでポーズを決めたり、試合中にわざとライガーのマスクに手をかけてはごうとしたりと“悪童”ぶりを存分に発揮。金本の顔面ウォッシュを即座にやり返し、付け焼刃のアンクルホールドを見舞うなど、これでもかとばかりに新日本勢と新日本ファンをヒートさせる。
 しかし、キャリアの差はいかんともしがたく、ライガーの掌打から金本のムーンサルトプレスを食らうと、平柳はもう虫の息。金本はわざとフォールにはいかず、先ほどのお手本といわんばかりのアンクルホールドで平柳をタップさせた。

 敗れはしたものの新日本ジュニアに火をつけることには成功したノア勢に対し、ライガーは「人のマスク取って何が楽しいんだ。オレの正体なんて誰でも知ってるだろう? 違うか?」と、日本テレビのアナウンサーに馬乗りになって激怒。一方、前日の後楽園大会のメーンで森嶋のラリアットを食らい、意識を飛ばされてレフェリーストップ負けを喫した金本は「小さいのがデカいのを倒すのもプロレスの醍醐味。やられたらやり返す」とノアジュニアのみならず、ヘビー級との戦いも訴えた。

マルビンと石森がKENTAに挑戦表明

 3.1武道館から続いていた黒覆面問題がついに解決。GHCジュニアヘビー級王者・KENTAを再三に渡って襲っていた男の正体は、疑われていた石森太二ではなく、リッキー・マルビンであることが判明した。

 KENTAは前回の武道館でGHCジュニア王座を防衛した直後、花道で謎の黒覆面に襲われてダウン。当初、金丸が黒覆面の正体と思われていたが、金丸の身の潔白が証明された上に「黒覆面の正体はパートナーの石森」という怪情報も流されたことでますます混乱。すっかり人間不信に陥ったKENTAは、この日の試合でも石森へのタッチを拒否。試合こそKENTAが勝利を収めたもの、両者の間には不協和音が響き渡っていた。

 試合後、石森が先に退場した直後にまたも黒覆面がKENTAを襲撃。しかし、直後に石森も現れ、覆面を取ったマルビンが正体を明かして一件落着……かと思いきや、今度は石森までもがKENTAへの挑戦を表明。当初「3WAYでやってやる」と2人まとめて受けて立つ覚悟を明かしたKENTAだが、GHCタイトル管理委員長のジョー樋口氏の鶴の一声により、まずはマルビン、石森による挑戦者決定戦が行われることが決定。その試合の勝者がKENTAのベルトに挑戦することになった。

プロレスリング・ノア「グローバル・タッグリーグ’09」最終戦
5月6日(祝・水)東京・日本武道館 観衆:9000人

<第9試合 グローバル・タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
三沢光晴、○潮崎 豪(4勝2敗1分=9点)
(22分53秒 豪腕ラリアット→片エビ固め)
佐々木健介(健介オフィス)、●森嶋 猛(3勝2敗2分=8点)
※三沢、潮崎組がグローバル・タッグリーグ優勝

<第8試合 グローバル・タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
バイソン・スミス、●齋藤彰俊(4勝3敗=8点)
(18分47秒 オリンピック予選スラム→片エビ固め)
高山善廣(高山堂)、○杉浦 貴(3勝2敗2分=8点)

<第7試合 グローバル・タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
○秋山 準、谷口周平(3勝4敗=6点)
(5分0秒 変形横入り式回転エビ固め)
力皇 猛、●モハメド ヨネ(3勝2敗2分=8点)

<第6試合 グローバル・タッグリーグ戦公式戦 30分1本勝負>
田上 明、●井上雅央(1勝6敗=2点)
(10分56秒 アイアンボム→片エビ固め)
ディーロ・ブラウン、○ブキャナン(3勝3敗1分=7点)

<第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
○小橋建太、伊藤旭彦
(17分2秒 剛腕ラリアット→体固め)
天山広吉、●岡田かずちか(ともに新日本プロレス)

<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
金丸義信、●平柳玄藩
(15分25秒 アンクルホールド)
獣神サンダー・ライガー、○金本浩二 (ともに新日本プロレス)

<第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
○KENTA、石森太二
(6分49秒 go2sleep→片エビ固め)
中嶋勝彦、●起田高志(ともに健介オフィス)

<第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
○佐野巧真、鈴木鼓太郎
(12分42秒 北斗ボム→片エビ固め)
●キース・ウォーカー、リッキー・マルビン

<第1試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
橋 誠、●菊地 毅
(10分7秒 回転地獄五輪パート0)
○本田多聞、青木篤志
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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