アンライバルド完勝! 無敗ロジ打倒へ名乗りだ=スプリングS

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アンライバルドがスプリングSを完勝! 打倒ロジユニヴァースへ名乗り 【スポーツナビ】

 JRAの3歳三冠クラシックレース第1弾・第69回GI皐月賞(4月19日、中山2000メートル芝)の優先出走権をかけた最終トライアルレース、第58回GIIスプリングステークス(1800メートル芝)が22日に中山競馬場で開催され、岩田康誠騎乗の1番人気アンライバルド(牡3=友道厩舎)が直線外から抜群の瞬発力を発揮し、差し切り完勝。これでデビューから4戦3勝とし、GI皐月賞の主役へ大きく名乗りを挙げた。勝ちタイムは良馬場の1分50秒8。管理する友道康夫調教師、岩田ともにスプリングSは初勝利となる。

 一方、半馬身差の2着には道中2番手から粘りこんだ8番人気レッドスパーダ(牡3=藤沢和厩舎)、さらに3/4馬身差の3着に追い込んだ武豊騎乗の2番人気フィフスペトル(牡3=加藤征厩舎)が入線。この上位3着までに皐月賞への優先出走権が与えられる。

悪条件もクリア、破格の瞬発力で先行馬をナデ斬り!

初の長距離輸送、悪天候、馬場などあらゆる課題を一発解答でクリア 【スポーツナビ】

 皐月賞はロジユニヴァースの1強でもなければ、ロジユニヴァースvs.リーチザクラウンの一騎打ちでもない。春の嵐を引き裂く末脚で、アンライバルドが“3強”を猛アピールした。

 「最悪だ、と思っていました」
 こうレース後にもらしたのは友道調教師。初の関東への長距離輸送に加え、折からの雨、しかも強風を伴う嵐のような悪天候で、もちろん「良」発表とはいえ馬場も悪い。本番へ向けてクリアしなければならない問題が山のように積まれていた。岩田も「実際は不安だらけだった」と明かしている。
 しかし、人間の心配などどこ吹く風、アンライバルドはそれこそ涼しい顔ですべての課題をクリアしてみせたのだ。レースは、1〜2コーナーでこそ頭を上げる素振りを見せたが、向こう正面からは1ハロン13秒のペースの中を中団で岩田と折り合いピッタリ。
 「今の中山は前に行かないとダメだし、ちょっと出して行った分、ハミがかかってしまった。でも、向こう正面に入ったらうまくリラックスして、落ち着いて走ってくれましたね」

 そのままじっくり待機し、仕掛けたのは4コーナー手前から。強風と道悪で他馬がモタつくのを横目に、サッと前団にとりつくと、一瞬にして先行各馬をナデ斬り。脚色はまるでレベルが違っていた。アンライバルドの一番の武器である『瞬発力』を最大限に生かしての勝利である。着差は半馬身でも、内容は文句なしの完勝だ。

岩田「折り合いがつけば、もっと切れる脚を使う」

この破格の瞬発力は岩田も絶賛だ 【スポーツナビ】

 「色々と経験させたかったことを、この一戦ですべてクリアしてくれました。輸送も問題ないことが分かりましたし、やはり抜け出す一瞬の脚はすごく切れる。収穫がありましたね」
 この完ぺきな勝利に自然と表情が崩れたのは友道調教師。そして、「今まで皐月賞は2強でしたけど、これで“3強”にさせてもらえるようになったかな(笑)」と、堂々のライバル打倒宣言だ。

 もちろん、岩田も相当な手応えをこのアンライバルドから感じ取っている。
 「1走ごとにレースを覚えていますし、成長を感じます。新馬戦ときょうのレースでは走るフォームが全然違う。もっと折り合いがついて自分が自由に乗ることができれば、もっと切れる脚を使えると思います。強い馬はいますけど、この馬も手応えあります。楽しみですね」

 あとはこのまま順調に、無事に、と1カ月後の皐月賞へ向けて声をそろえたジョッキーとトレーナー。特に気性面のキツさから折り合い面が1つの課題となる同馬だが、友道調教師によれば、それも「今は普段からもすごく落ち着いていて、いい感じで来ている」と精神面も充実一途だという。

偉大な父に一歩近づく勝利、さあ皐月賞2代制覇へ

いざ、父と同じ道へ! 【スポーツナビ】

 兄に1996年の日本ダービーをわずかキャリア3戦で制した“奇跡のダービー馬”フサイチコンコルドを持つ血統背景もさることながら、今や競馬ファン、関係者の間で語り草となっている昨年10月26日の京都新馬戦。同じくGI皐月賞最有力の1頭と目されているGIIIきさらぎ賞馬リーチザクラウン、そしてすでに「桜花賞は鉄板」とまで言われている女王ブエナビスタを難なく蹴散らした素質馬、それがアンライバルド。
 「この3頭の中でウチの馬だけがまだ重賞を勝っていなかったので、あの新馬戦の勝ち馬という意味でも、重賞を獲らせてあげたかった」(友道調教師)

 また、第一冠への視界がくっきりと開けたこの日のスプリングS勝利は、偉大なる二冠馬の父ネオユニヴァースに続く父子2代制覇でもある。もちろん、父子制覇をこれだけで終わらせるつもりはない。皐月賞、そして日本ダービーへ、アンライバルドが“真の主役”として突き進む。

武豊「悔いが残る」フィフスペトル不完全燃焼3着

フィフスペトルは不完全燃焼、初コンビの武豊も「悔いが残ります」 【スポーツナビ】

 一方、2番人気に支持されていた昨年の2歳王者決定戦・GI朝日杯フューチュリティステークス2着馬で、今回武豊と初コンビを組んだフィフスペトルは追い込み届かず3着に終わった。

 「悔いが残るレースでしたね」
 レース後の検量室、武豊の口から出た最初の言葉だった。道中は内枠でもまれながらの後方3番手グループ。作戦どおりかと言えば、そうではない。
 「折り合いを欠いた馬の影響で何度かぶつけられて、小さなロスが2、3度あった。外枠だったら、もっと違った結果だったかも知れないですね」
 ゴチャついたままスムースにポジションアップできず、3〜4コーナーは外へ。ラスト3ハロンはアンライバルドと同じ34秒5の脚で追い込んだものの、優先出走権内の3着確保が精一杯だった。

 結果的にアンライバルドばかりが目立つレースとなり、第一冠争いの2番手グループに一歩後退の印象はぬぐえない敗戦。しかし、敗れたとはいえフィフスペトルの能力そのものには太鼓判を押している。
 「折り合いもついていましたし、きょうの感じなら距離も大丈夫ですね。やはり能力のある馬だと感じました」
 それだけに残念なレースだった、と武豊。ただ、道中不利を受けながらも3着にまで押し上げたのは地力の証明とも言える。

 今後はこのまま皐月賞か、それともNHKマイルC路線か。いずれにせよ、この日完全燃焼できなかった分を本番で爆発させ、GIタイトルを狙うのみだ。
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