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韓国に勢いをつけた「ミスター東京ドーム」
WBC韓国代表リポート

難敵・チャイニーズ・タイペイに大勝

「ミスター東京ドーム」李晋映が満塁本塁打を放ち、韓国に勢いをつけた
「ミスター東京ドーム」李晋映が満塁本塁打を放ち、韓国に勢いをつけた【写真は共同】

 ワールドベースボールクラシック(WBC)1次ラウンド・A組で韓国がチャイニーズ・タイペイに9対0で大勝。韓国は7日夜の日本戦へと駒を進めた。


 この試合は、1回の攻防でほぼ決してしまった。韓国の先発・柳賢振は、大会前の強化試合で登板がなく、状態を不安視されての登板だったが、初回、無死一塁でチャイニーズ・タイペイの2番・蒋智賢が試みた送りバントが、ピッチャーライナーとなりダブルプレー。これに助けられた柳賢振は、その後、落ち着いた投球を見せていった。

 その裏の韓国は、4四死球でもらったチャンスに、4番・金泰均の2点タイムリーと、7番・李晋映の特大の満塁ホームランで6点を先制。試合後、金寅植監督が「相手がチャンスをくれた」と話したように、韓国は難敵・チャイニーズ・タイペイのミスにつけ込んで、白星発進した。

「ミスター東京ドーム」と呼ばれる李晋映

 この試合で韓国関係者を「さすが」とうならせたのが、「ミスター東京ドーム」こと李晋映だ。彼がそう呼ばれるようになったのは2006年の前回大会からだ。まず、初戦のチャイニーズ・タイペイ戦で、ピンチを救う2度の好守を見せた。そして、日本戦では日本の2点リードで迎えた4回裏、2死満塁で右打席に西岡を迎えた場面だった。1ボールからの2球目、西岡がとらえた打球は、ライト右への鋭いライナーとなった。抜ければ日本が大量リードを奪う場面だが、これに李晋映は躊躇(ちゅうちょ)せずダイビングキャッチ。この美技に対し、場内の日本ファンから李晋映へ「余裕の拍手」が送られた。しかし、試合はこのプレーを機に流れが変わり、韓国は8回表に李承ヨプの逆転弾で日本に勝利。この試合から、近年の韓国の躍進が始まっている。


 また、翌年の中日とのアジアシリーズでは、李晋映がバットで存在感を見せた。韓国代表・SKの1点リードで迎えた6回表。1死二塁で貴重な追加点となるタイムリーヒットを放ち、SKはアジアシリーズ初となる、日本出場チームからの白星を挙げた。さらに決勝戦では3対5で2点を追う8回裏。2死一塁で、中日の2番手・岡本(現・埼玉西武)から、ライトスタンド看板直撃の同点弾を放った。そして今回の満塁アーチだ。

乗ってきたら止まらない男が勢いをつけて日本戦へ

 昨年のアジアシリーズ。幾度も東京ドームで活躍を見せる李晋映に「日本でプレーしたら? 年俸1億円で」と冗談めかして聞くと、「連れて行ってよ〜」と返してくる。しかし、昨オフFA権を取得した李晋映は、50%増の年俸3億6000万ウォン(約2520万円)で、出場機会が約束されたLGへの国内移籍を選択。「ミスター東京ドーム」の日本進出とはならなかったが、今回も東京ドームを盛り上げてくれそうだ。


 初戦から称号にたがわぬ活躍を見せた李晋映。乗ってきたら止まらない明るい男が、宿敵・日本戦に向けて勢いをつけた。


<了>

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。