新たな大会に隠されたプラティニ会長の狙い=ヨーロッパリーグ開幕コラム
新たな戦いが幕を開ける
2007−08シーズンのUEFAカップを制したゼニト・サンクトペテルブルク 【Photo:AFLO】
昨年9月、UEFA(欧州サッカー連盟)は2009−2010シーズンから現行のUEFAカップを廃止し、「ヨーロッパリーグ」として新たにスタートすることを決定した。
1971−72シーズンからスタートしたUEFAカップだが、この変更は必然だったのかもしれない。現在のチャンピオンズリーグ(CL)も90年代初頭に改革を行い、それが現在の大成功へとつながった。レアル・マドリーの5連覇を皮切りに、欧州サッカーの歴史に数々の名勝負を刻んできた1955年発足のチャンピオンズカップは、現行のCLに姿を変えてから商業的に大成功を収め、現在は欧州の経済にまでも影響を与える存在となっている。
CL決勝を開催すれば、その都市には数日前から多くのサポーターが駆けつけ、たんまりと外貨を落として帰ってくれる。そしてCL決勝が成功すれば、将来的に大規模なスポーツイベントの招致に向けた大きなアピール材料にもなる。“チャンピオンズカップ”から“チャンピオンズリーグ”への変更は、欧州近代サッカーにおける大きな成功の一つとして語り継がれている。
現代サッカーで成功する大会の掟
筆者もカップウィナーズカップが廃止される最後の年(98−99シーズン)に、スタンフォード・ブリッジでチェルシー対バレレンガという試合(準々決勝)を見たことがある。バレレンガというノルウェーのチームにやたらでかいFW(ジョン・カリュー/現アストン・ビラ)がいるな、なんてことしか覚えていないが、それでも、「ああ、これがカップウィナーズカップの最後なんだ」と、そんな少し悲しげな雰囲気がスタジアムに漂っていた。
そのほかにも、インターコンチネンタルカップ(トヨタカップ)はクラブワールドカップ(W杯)になり、W杯もユーロ(欧州選手権)も参加国と規模は拡大する一方だ。規模を大きくし、いかにビジネス面で成功できるかが、現代サッカーにおけるトーナメントが成功する掟(おきて)なのだろう。