試合後、広島皆実・藤井潔監督会見=高校サッカー決勝

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選手は伸びしろがある

初優勝を飾り喜びを爆発させる広島皆実イレブン 【鷹羽康博】

――インターハイ、高円宮杯などで逆転負けを喫しているが、最後まで勝ち切れるようになった要因は?

 昨年まで(選手権で)ベスト8が続く中で、選手が現状を打破するために攻撃力を上げたいということを掲げてきたんですが、それに応じて「行け」と。勢い任せでカウンターを受ける場面がすごく多くて、チームとしてのスピードコントロールやバランス、攻守のコントロールについては練習でも取り組んできました。選手たちが攻撃を掲げてきた以上、僕の方も守備からとはなかなか言えなかったので、その辺のバランスを取れたのが(昨年9月の)高円宮杯以降になったのかなと。

――戦前のゲームプランを教えてほしい

 選手には申し訳ないけど、鹿児島城西の前線の力を見たときに、失点は覚悟しないといけないなというのは自分の中にありました。それ(攻撃)を受けながらメンタル的なバランスを崩さないように、自分たちの形を示し続けながら守備網を突破して、1点でも相手を上回る得点が取れたらと思っていました。正直、失点は覚悟していました。

――優勝につながった要因の1つとして、広島県の中でもまれてきたというのがあると思うが、どのように考えているか?

 広島にはサンフレッチェ広島があります。サンフレッチェの功績はすごく大きくて、ジュニア、ジュニアユースの指導網が確立されていると思います。ユースに上がれるのはごくわずかですが、それ以外にも中体連の先生方も含めて、サッカーが好きでプレーしている子が高校に入ってもプレーできるという、広島のたくさんの高校、チームが切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていると思います。プリンスリーグは厳しい戦いですし、(選手権の)県大会でも準決勝、決勝と激しい試合でした。サンフレッチェ広島がすごく強かった時代がありましたので、今回に大きくつながっていると思います。

――サンフレッチェ広島ユースに対抗するために、どのような取り組みをしてきたか。結果につながった部分は?

(広島ユースは)本当に強い時期がありました。(広島皆実が)2年間、選手権の出場を逃した時がありましたけれど(2004年度、05年度)、その時(広島)観音高校が(インターハイで)全国優勝しました(06年度)。強いチームで、指導者の方々が強化を創意工夫されているチームに対して、(広島皆実が)どのように構えるかというところで今の守備力の基礎ができあがったのではと思います。

――決勝のメンバー表を見ると約半数がJリーグの下部組織出身の選手で、3年生の6人がサンフレッチェ広島ユース出身。彼らが高校でどのように成長してきたかを教えてほしい

 入学したときはユースに上がれなかったということで、多少は悔しい思いはあるでしょうが、高校3年間での伸びしろを考えています。サンフレッチェ広島から預かっているという意識もありますし、預かった以上は負けないように育てなければいけないというプレッシャーもあります。選手のメンタリティーは個人個人で違いますし、いろいろなアプローチをしています。

――具体的なアプローチの方法は?

 そのときどきですが、僕に限らず先代の鯉迫(勝也)先生や加藤(俊夫)先生が、おごっている選手、挫折感を味わっている選手に接して、プリンスリーグで(広島ユースと)直接対戦することができますし、3年間で変わることができると。卒業生の森重(真人/大分トリニータ)や吉弘(充志/コンサドーレ札幌)、(柏)レイソルの山根(巌)も含めて、大学で頑張っている選手の話などをしながらやっています。

――劇的に変化したか?

 もちろん、中体連の子もいます。点を取った金島(悠太)などは吉田中、田舎の出身ですけど。3年間をあらためて(振り返って)、選手は伸びしろがあるなと。

<了>

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