女子日本代表が迎えるオールジャパン=天皇杯・皇后杯バスケ第5日

小永吉陽子

「完全燃焼」を求めるリーグ最年長、相澤優子

相澤優子(シャンソン化粧品)は五輪最終予選で敗れてなお、「完全燃焼したい」と気迫をみなぎらせている。 【(C)JBA】

 多くのベテラン選手が「燃え尽き症候群」に陥った一方で、日本代表の主将、相澤優子(35歳、シャンソン化粧品)だけは違っていた。実は相澤の場合、五輪最終予選が終了するまで、今シーズンの身の振り方を決めていなかった。
 これまでも幾度となく引退を匂わせてきたが、そのたびに「やっぱりバスケがしたい」という思いと素直に向き合い、現役続行を決意してきた。
 そんな彼女が「不完全燃焼に終わった」五輪最終予選後、続行を即決した。
「このままで終わりたくないから現役続行を申し出ました。今は自分が活躍したいからプレーを続けるのではなくて、自分が納得する形で現役を終わりたいんです」

 現在、成長著しい若手にスタメンの座を譲っているが、オールジャパンのようなビッグゲームでは、この人の活躍なしでは語れない。
「いつスタメンで出ろと言われても準備万端です」

初優勝を狙うトヨタ自動車は大会目前でアクシデント

 一方、五輪最終予選に出場しなかったからなのか、2007年のアジア予選出場組であるトヨタ自動車の両エース、榊原紀子(30歳)と池田麻美(27歳)の2人は、順調な仕上がりを見せていた。
 榊原は足に疲労骨折を抱えていたこともあり、日本代表を辞退して今オフには手術に踏み切ってコンディションを整えた。一方池田は、オフの間にスリーポイントラインまでシュートエリアを広げ、技術のパワーアップを図っていた。
 両エースの活躍もあり、トヨタ自動車は年内のリーグ戦を首位で終えている。

 しかし、アクシデントは突然起こった。12月14日、年内最終戦で池田がひざの靭帯(じんたい)を損傷してしまい、ここまでオールジャパンには1秒も出られない最悪な状態を迎えている。
 本人は「準決勝に出るつもりで調整したい」と話しているが、チョン・ヘイルヘッドコーチは「池田がいなければみんなでカバーしていくしかない」と顔を曇らせている。

準決勝以降は若手の台頭がカギを握る

 準決勝以降の戦いは、日本代表のベテラン選手たちにとっては、スタミナと気力の戦いになるだろう。それと同時に、こんな思いを抱かずにはいられない。

 もし、北京五輪に出場していたら、さらにハードなシーズンを迎えていた訳で、その時、日本代表選手の心身はどのようなピーキングを迎えていたのだろうか。
 五輪最終予選、五輪、そしてWリーグ。1年に3度のピークを持ってくるタフネスさが今の日本代表にないことは現状が証明している。若手選手の底上げは急務だろう。準決勝からは、ベテラン勢の活躍だけでは乗り切れない山場が待ち受けている。

<了>

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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