延岡学園の2冠はなるか!? 洛南の連覇か!?=高校バスケ「ウインターカップ2008」男子展望

北村美夏

チーム初の冬のタイトルを狙う北陸

ウインターカップ3連覇を狙う洛南。今年は国体でも優勝を飾っている 【(C)JBA】

<対戦カード>
北陸(福井)vs. 神戸科学技術(兵庫)−佐賀北(佐賀)の勝者
甲府西(山梨)vs. 広島商(広島)−弘前実(青森)の勝者
八王子(東京1)vs. 大塚(大阪)−七尾(石川)の勝者
能代工(秋田)vs. 東海大四(北海道)−前橋育英(群馬)の勝者
※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 今夏のインターハイで、明成から劇的な勝利を挙げベスト4に入った北陸(福井)が第3シードとなった。日本を代表するガードを何人も輩出しており、「ガード王国」とも言われるが、ウインターカップでは優勝がない。7度も決勝ではね返されているのだ。今年もイキのいいガードがそろい、チームに初の冬のタイトルをもたらしたいが、やはり険しい道となりそうだ。

 まず、39年連続39回出場のうち20回優勝している能代工(秋田)がこのブロックに入った。今春コーチが交代し、伝統のゾーンディフェンスを封印して取り組んできた新しいスタイルがどこまで浸透しているかが鍵になる。国体は東北地区予選で明成に敗れて不出場だったことから、その仕上がりぶりに注目したい。

 そして、今年6月の関東高等学校バスケットボール大会王者の八王子(東京1)も忘れてはならない。ツインタワーは全国上位にも引けをとらない破壊力を持つが、インターハイでは北陸に17本もの3Pシュートを決められてベスト16。この借りを返したいはずだ。

 さらに、1回戦を勝てばそれぞれ能代工、北陸の初戦の相手となる東海大四(北海道)、神戸科学技術(兵庫)は、都道府県内のライバル対決を制してきた勢いでシードチームの出鼻をくじきたいところだ。

ウインターカップ3連覇がかかる洛南

<対戦カード>
洛南(京都)vs. 鳥取工(鳥取)−宇都宮工(栃木)の勝者
四日市工(三重)vs. 盛岡市立(岩手)−長崎西(長崎)の勝者
市立船橋(千葉)vs. 熊本工(熊本)−奈良育英(奈良)の勝者
岡山学芸館(岡山)vs. れいめい(鹿児島)−桜丘(愛知)の勝者
※左はシード校、右は1回戦の組み合わせ

 第4シードの洛南(京都)は3連覇がかかる。時間が経つほど洗練されるパス&ランスタイルで昨年、一昨年と冬に頂点を極めてきたが、今年は秋の国体で一足早く優勝を飾っており、期待は高まっている。ただ、国体では延岡学園と対戦しておらず、準決勝で「夏の王者」と「秋の王者」の対戦が実現すれば、激戦必至と言える。

 しかし、そこに至るまでにもさまざまなタイプのチームが待ち構えている。岡山学芸館(岡山)にはセネガルから、桜丘(愛知)にはリトアニアからの留学生がおり、国際色豊かだ。また、国体ベスト4に貢献したメンバーが主力を努める市立船橋(千葉)も虎視眈々(たんたん)と上位を見据えている。

 このうち、岡山学芸館のメンバーは国体の準々決勝で、市立船橋のメンバーは国体の準決勝で、それぞれ洛南を中心とする京都に敗れている。ウインターカップでは単独チームとして、どこまで洛南に迫れるか試したい。

「スラムダンク奨学金」の奨学生にも注目

 延岡学園の2冠、福岡第一のリベンジ、明成の初優勝、北陸の8度目の正直、能代工の復活、そして洛南の3連覇……。
 このどれもが実現する可能性を持っており、またどれも実現しない可能性もある。7日間の熱い戦いが終わったとき、1つの結果だけが事実として残されるのだ。その過程をぜひ、見届けてほしい。

 また、漫画『スラムダンク』の作者である井上雄彦氏が2007年に設立した「スラムダンク奨学金」の奨学生に、2年連続で男子から有望選手が選出されている。彼らの高校最後のプレーを目に焼き付けておき、将来の活躍を想像するのも一興だ。

<了>

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著者プロフィール

 1983年生まれ。バスケットボール男子日本代表を中心に、高校、大学からJBL・WJBL、ストリートや椅子バス、デフバスまで様々なカテゴリーのバスケットボールを取材。中学・高校バスケットボール(白夜書房)などの雑誌、「S−move」「JsportsPRESS」等のウェブ媒体で執筆。2009年末に有志でポータルサイト・「クラッチタイム」創設

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