２００８年のＫ−１世界王者決定戦「Ｋ−１　ＷＯＲＬＤ　ＧＰ　２００８　ＦＩＮＡＬ」が６日、神奈川・横浜アリーナで開催され、レミー・ボンヤスキーが４年ぶり３度目の世界王者に輝いた。
　しかし、バダ・ハリとの組み合わせとなった決勝戦では、そのバダ・ハリが強引に倒したレミーに対してレフェリーの制止もきかずに、上からストレート、踏みつけの反則行為に及び失格。今年で１６回目を迎えたＫ−１ＧＰで例を見ない前代未聞の決着で優勝者が決まる、後味の悪い締めくくりとなった。

　大会終了後には谷川貞治Ｋ−１イベントプロデューサーが大会を総括。バダ・ハリについて、今後の処分の方向性を語った。

　以下は谷川プロデューサーのコメント。

　最後は非常に残念な結果になってしまいましたが、トーナメントの内容は面白かったと思います。バダ・ハリ選手を中心に盛り上がりました。少し前は大きな選手が強いというイメージがありましたが、今回はルスラン（・カラエフ）、（グーカン・）サキ、（エロール・）ジマーマン選手のような選手が出てきました。
　最後の反則は前代未聞、言語道断の行為だと思います。
　まだ角田（信朗、ルール統括）さんと話していないのですが、審判団の意見をまとめてもらって、厳しい処分を課さなくてはいけないと思っています。
　Ｋ−１は１５０カ国以上で放映されていて、スポーツとして確立しようという意図を持ってやっていますので、あれを許してしまっては、一生懸命やっている選手たちが「何のために命がけでやっているのか」ということになってしまいます。
　レッドカードはルール上ですとファイトマネーの１００パーセントを没収することになっているのですが、バダ・ハリ選手の２位というものをどうするかを含めて厳しい処分を下すべきだと思っています。

　バダ・ハリ選手は反則に至った理由を何と話していましたか？

──「攻撃を仕掛けてもレミーは返してこないのでイライラしていた」と

　そうですか。僕はてっきり何か言われたのかと思いました。耳元で何かささやかれたとか。
　準々決勝、準決勝とすばらしい内容だったのにＭＶＰから大ヒールへ転落してしまいましたね。

──処分というと、出場停止など？

　出場停止とか、罰金とかそういうことですよね。
　審判団の意見を聞きながらやっていきたいと思います。
　頭が痛いです。いい選手なのに……。

──反則直後にレッドカードはが提示されなかったのはなぜ？

　反則があったことに関して、まずすぐにイエローカードの判断がありました。
　レッドカードは出た時点で試合が終わりなので、やられた側が逃げてしまう可能性もある。
　角田さんも止めに入っていたのでよく分からなかったのではないかと思います。
　以前（ボブ・）サップ戦（０３年１０月１１日）でもありましたよね？　あれもレミーだったんですけど。
　レミーが上から殴られてしまったんですよね、確か。

──踏み付けという行為よりもダメージが失格につながった？

　難しいところですね。
　踏みつけはレッドカードに値すると思いますけど、レミーがどのくらいのダメージを負っていたのか。
　Ｋ−１としては完全決着としたかったところではないでしょうか。
　しかし上から殴ったら即没収となると「俺はもっとやれるのに、殴られ損じゃないか」という選手も出てくるかと思いますので、参考にして角田さんと相談したいと思います。

　また今大会には、自身のストリートファイト動画をサイトにアップするという極めて現代的な手法でスターとなった米国の格闘家キンボ・スライスが視察に訪れた。
　初来日の感想を「食べ物はうまいし、皆親切だ」と満足げに語ったキンボは、初観戦となるＫ−１について「Ｋ−１はとてもエキサイティング。総合格闘技とは違うが新しい活躍の場として十分な候補だ」と好感触。また、気になった選手として、決勝戦での反則行為で失格になったバダ・ハリを挙げると、「俺が戦ってスポーツマンシップが何たるかを教えてやろう」「おしおきをしたい」と、“おしおきマッチ”を自らブチ上げた。

　以下はキンボのコメント。

──Ｋ−１観戦の感想は？

　まず日本は初めてなんだけど、食べ物はうまいし、皆親切だ。
　Ｋ−１はとてもエキサイティング。総合格闘技とは違うが新しい活躍の場として十分な候補だ。

──いい選手はいましたか？

　バダ・ハリだ。彼はすばらしいが、反則はスポーツマンシップに反する。俺が戦ってスポーツマンシップが何たるかを教えてやろうか。

──あなたの得意分野をＫ−１に生かせるますか？

　できると思う。
　十分に考えられるカテゴリだ。

──バダ・ハリ選手と対戦するならＫ−１ルール？

　バダ・ハリにおしおきをしたい気持ちはあるが、俺に対戦相手を選ぶ権利はないし、対戦相手を選ぶつもりもない。
　それはプロモーターが考えて決めることだ。