逃走ヴィクトリーV! 田中勝15年ぶりのGI勝利=皐月賞=無敗ホウオー、追い込み届かず3着敗戦

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早くも兄リンカーン超え、次はダービーで二冠だ

3歳牡馬三冠クラシック第1弾の皐月賞を制したヴィクトリー、次に狙うはダービーだ 【スポーツナビ】

 田中勝に15年ぶりのGI制覇をもたらしたヴィクトリーは、父が三冠馬ナリタブライアンなどを輩出した名種牡馬ブライアンズタイムで、GI2着が3回あるリンカーンを兄に持つ良血馬。管理する音無調教師が「能力はある」とホレ込む素質馬だ。
 ただ、「思ったように調教ができなくて苦労した」と語るくらいの気性の悪さがネック。1週前の追い切りでは乗り手を振り落として放馬し、最終追い切りでも思い通りに動いてくれないヤンチャな面を見せていた。
 だが、そんなまともに調教ができない“若い”状態でありながらクラシック第一冠を堂々逃げ切り、キャリア4戦にして兄リンカーン超えを早くも成し遂げてしまった能力は底が知れない。
 「リンカーンの悔しさを晴らせて良かった」
 音無調教師はこう語り、またリンカーンを担当し、弟も同じく担当している蛭田調教助手は田中勝に負けないくらいの笑顔を弾けさせていた。

GIを勝つことができなかった兄リンカーンをキャリア4戦目にして超え、兄弟ともに担当した蛭田調教助手(右)も満面の笑顔を浮かべていた 【スポーツナビ】

 荒削りな皐月賞馬が次に進む道は当然、二冠目のダービー(5月27日、東京競馬場2400メートル芝)だ。
 「能力はありますよね。でも、セオリー通りには乗れない馬だし、この後、どう成長するのか、みんな分からないでしょう?」
 この超素質馬の器は、田中勝ですら1度手綱を握ったくらいでは量れない。まだまだ上昇が見込めるだろう。まともに能力を出し切れば、ダービーでも勝ち負けになる馬と言える。「皐月賞の勝利をダービーにつなげていきたい」と音無調教師も気合十分に語った。
 そして、GI連敗の呪縛から解き放たれた田中勝が、新たな相棒とともに進む道。その名の通り、ダービーへと続くクラシックロードを“勝利”一直線に突き進むか。

安藤勝ホウオー無念の3着「次は巻き返す」

フサイチホウオーは父ジャングルポケットと同じく3着と敗れ、鞍上の安藤勝は「次で巻き返す」と雪辱を誓った 【スポーツナビ】

 それはまるで、2001年皐月賞でのジャングルポケットの敗戦が、そのまま繰り返し再現されたかのようだった。
  上がり3F33秒9の末脚は、出走18頭中最速タイ。ゴール前で最も勢いがあったのは、間違いなくフサイチホウオーだった。勝負にタラレバは禁物だが、それでももしゴール板があと1完歩先にあったなら、着順は入れ替わっていただろう。だが、結果は勝ち馬ヴィクトリーからハナ・ハナ差及ばずの3着惜敗。
 「ゲートがモサっと出たので、あの位置取りに(後方5〜7番手)。エンジンのかかりが遅い馬で、今日も反応したのは最後の直線だけだった」と安藤勝。2月の共同通信杯勝ちからぶっつけで皐月賞に挑み、枠順も1枠1番と、まるで父ジャングルポケットをなぞるようだったが、皮肉にも結果も父と同じく追い込み届かず3着に終わってしまった。
 だが、二冠目のダービーはこのままでは終わらせない。父は世代最強を決めるダービーの晴れ舞台で、皐月賞3着からリベンジを果たした。息子ホウオーも同じ道を突き進むのみだ。
 「東京ではエンジンが早くかかる馬だからね。次は巻き返したい」
 アンカツもダービーでの雪辱に闘志を燃やしている。

1番人気アドマイヤオーラは差し届かず4着、「位置取りが悪くなってしまった」と武豊 【スポーツナビ】

 一方、前哨戦のGII弥生賞を勝って1番人気に支持された武豊騎乗のアドマイヤオーラも、上がり3F33秒9の脚を繰り出したが、差し届かず4着に敗れた。
 1コーナーでの位置取りはフサイチホウオーのさらに後ろの後方3番手。そこからフサイチホウオーをぴったりマークするように徐々に番手を上げていったものの、最後まで1着争いには絡めなかった。
 「残念でしたね。スタートがひと息でしたし、内外から寄られて、位置取りが悪くなってしまった。結果的に位置取りが後ろすぎたかな」と武豊。出だしのゲートとポジション取りが最後まで響いた形となってしまった。

<了>

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