ダイワスカーレット、逆転で桜の女王に=安藤勝は連覇&JRA通算700勝メモリアルV

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桜連覇のアンカツ、次週はホウオーで皐月賞V狙う

桜花賞を制したダイワスカーレットを管理する松田国調教師(右)、大城オーナー(右から3人目)もニッコリ 【スポーツナビ】

「いやあ、それでもやっぱりウオッカが強いのは分かっているし、後ろに来ているのが見えていた。安心はできなかったですよ。最後も安心しようと思ったら、また(ウオッカの)頭が見えてきたから」
 そう言いながらも、ゴール50メートル手前で早々とガッツポーズを出してしまうところが、いかにもアンカツらしいところ。宿敵ウオッカにつけた着差は1馬身半、まさに完勝だ。

主戦の安藤勝は2年連続の桜花賞制覇が、JRA通算700勝のメモリアルVとなった 【スポーツナビ】

「追い切りの時点で前走より状態が良くなっているのは間違いないと思いましたね。今日も前走より落ち着いていたし、気合も乗って、いい状態だと思った。最後まで止まらない感じで、しっかりと動いてくれましたね」
 逆転の快勝劇でダイワスカーレットを桜の女王へとエスコートした安藤勝は、昨年のキストゥヘヴンに続き、2年連続の桜花賞制覇。また、それと同時にJRA通算700勝も達成し、「700勝は全然気がつきませんでしたね。桜花賞で達成できたのはうれしいですけど、事前に知っていなかったから良かったのかも(笑)」と、47歳の名人は満面の笑顔を見せた。

 桜花賞を制し、次に狙うは牝馬クラシックの二冠目・オークス(5月20日、東京・芝2400メートル)だ。
 安藤勝は「距離が延びるわけだから、もう少し息を抜いて走ってほしい」と課題を挙げつつも、「でも、それができれば、これだけ長い脚を使えるわけですからね」と二冠制覇へ意欲十分。管理する松田国調教師も「まだ冬毛が残っている状態でこれだけの競馬ができた。まだ上積みはありますし、もう一つ、二つ上のステージに持ってこれると思います」と、さらなる状態アップに自信を見せた。
 さらに安藤勝&松田国厩舎コンビは、来週の3歳牡馬三冠クラシック第1弾・GI皐月賞(4月15日、中山・芝2000メートル)に、4戦4勝の最有力候補フサイチホウオーで参戦。2週連続でクラシック制覇はなるか。今年の3歳牡牝クラシック戦線は、安藤勝&松田国厩舎を主役に動いていきそうだ。

ウオッカ伸びず……四位「いつもの走りではなかった」

断然1番人気に支持されたウオッカは2着、「いつもの走りではなかった」と騎乗した四位 【スポーツナビ】

 一方、敗れたウォッカの手綱を握った四位にとっては、「まさか」の思いだろう。昨年12月の2歳女王決定戦・阪神JF、前哨戦のGIIIチューリップ賞を快勝したパワフルな末脚がついに繰り出せなかった。レース後の馬上で四位は、信じられないという表情で何度も天を仰いだ。
 確かに、直線で安藤勝ダイワスカーレットに馬体を寄せられたことで勢いが殺されたようにも見えたが、本来のウオッカならばそれくらいは簡単に跳ね返せる。四位もそこが敗因だとは語らなかった。
「レースの入りも良かったし、直線で寄られたけど、それは関係ない。ただ、いつもと違ったのは、勝負どころの3分3厘でゴーサインを出さなくても動いていく馬なのに、今日はそういう手応えではなかった。いつもの走りではなかった」
 なぜ伸びなかったのか。ハッキリとした敗因を求められても「馬は落ち着いていたんだけど、ウーン……」と、明確な答えは現時点では見つけられない。これが、若い3歳牝馬特有の難しさだったか。

 管理する角居勝彦調教師も「前走と同じ展開で、同じようなポジションで、同じようなパターンに持ち込んだのに勝てなかったのだから、仕方がない。勝ち馬が強かった」と、この日ばかりはダイワスカーレットを称えるしかなかった。
 だが、この一戦で女王の座から完全に陥落してしまったわけではない。チューリップ賞、桜花賞でダイワスカーレットとの対戦成績は1勝1敗の五分。春の3歳牝馬最強決定戦は牝馬クラシック二冠目のオークスに持ち越された。
「前に馬を置く形にすれば、距離は大丈夫」と四位。迎え撃つ立場から、今度は挑戦者となって樫の大舞台で雪辱戦だ。

武豊アストンマーチャンは能力を発揮しきれず7着大敗 【スポーツナビ】

 また、“3強”のもう一角、武豊騎乗のアストンマーチャンは前半で引っ掛かり気味に先行し、直線半ばでバテて7着大敗。
「いい位置を取れたけど、楽にスムーズな形であの位置ならいいんだけどね。力んでいるから、余裕がない。スプリント色が濃くなってきたかな」と武豊。アストンマーチャンにとっては距離の限界を思い知らされる苦い敗戦となった。

<了>

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