萩原智子の水泳マニア!〜男子編〜=自由形短距離、中長距離
競泳男子陣の注目ポイントを語る萩原さん 【スポーツナビ】
今回は男子編です。
「エースは細川。日本新の伊藤も注目」
男子自由形代表の細川大輔 【Photo:築田純/アフロスポーツ】
エースは細川選手です。今、日本の自由形陣を一番引っ張っているのは彼です。男子自由形の100m、200mは、毎年日本選手権の表彰台が入れ替わるのです。そのなかでも、いつも表彰台に立つ安定感がありますし、リレーでもアンカーを務めてくれます。日本チームの中心的人物、心強いお兄さん的存在ですね。
体はすごく大きくて、身長が190センチ近くあり、体を大きく使えるのが彼の特徴です。(競泳は)体が大きければいいというものではないのです。大きな手をしていると、(水を)いっぱいつかめますが、(その分たくさんの水をかかないといけないため)後半になってしまうと疲れてしまう。体を使いこなすまでに時間がかかるのです。
ですが、細川選手はずっとトップで頑張ってきて、自分の体を知っているし、ダイナミックな泳ぎに期待です。
男子自由形代表の伊藤真 【Photo:北村大樹/アフロスポーツ】
伊藤選手も体が大きくて、外国人の選手にもひけをとらないくらいです。2月の東京都記録会(短水路)では、50mで自身初めての日本新を出しました。初めて日本新を出したことってすごく自信になるのです。わたしも初めて日本新を出した年は、すごくステップアップができました。だから彼も初めての日本新を出したという自信で満ち溢れているので、「なんかいけそうな気がします」という発言をしてくれます。3月の短水路選手権でも日本記録を塗り替えていいタイムを樹立したので、かなり勢いにのっている選手です。
この種目は、山野井(智広)さんが2001年の世界選手権(福岡)のときに、銅メダルを獲得された種目です。あのときも日本人がスプリント種目で決勝に残ること自体が初めての快挙だったので、そういった意味では50mという種目は何が起こるか分からない種目です。チャンスがピンチになるし、ピンチがチャンスになる。伊藤選手には大きなチャンスをものにしてもらいたいです。
「人間力の松田を応援!」
松田選手に注目ですね。バタフライと自由形に出場するオールラウンダーです。彼は人間力がある選手です。選手としてももちろんですが、人間としても心から応援したくなる選手のひとりです。
(自由形では)400mと1500mに出場するのですが、(アテネ五輪、前回モントリオール大会の400mで)今までずっと決勝の舞台に残っているのです。そんなに知られていませんが、男子の自由形では本当に快挙なのです。今回も上位に食い込めるくらいの力を付けているので、強気なレース展開をしてもらいたいです。
同じアジア人で、ここ最近かなり伸びてきてすごく注目を集めているパク・テファン選手。松田選手は、去年のアジア大会ではパク選手と泳いでかなり差をつけられました。そのときの結果は、パク選手が優勝で、松田選手は3位でした。すごくショックを受けたようですが、同じアジア人として頑張りたいという気持ちもすごくあるみたいです。