萩原智子の水泳マニア!〜男子編〜=自由形短距離、中長距離

萩原智子

競泳男子陣の注目ポイントを語る萩原さん 【スポーツナビ】

 シドニー五輪競泳日本代表の萩原智子さんが、温かく、かつ率直に語る、ちょっとマニアな世界水泳見どころ紹介。種目の特徴、選手の性格、レース展開、今大会でのチャレンジなどなど……。競泳の事、選手の事をもっと知って、明日のランチで誰かに自慢してみませんか!?
 今回は男子編です。

「エースは細川。日本新の伊藤も注目」

男子自由形代表の細川大輔 【Photo:築田純/アフロスポーツ】

男子自由形(短距離)  伊藤真、小島貴光、櫻井裕司、細川大輔、山元啓照

 エースは細川選手です。今、日本の自由形陣を一番引っ張っているのは彼です。男子自由形の100m、200mは、毎年日本選手権の表彰台が入れ替わるのです。そのなかでも、いつも表彰台に立つ安定感がありますし、リレーでもアンカーを務めてくれます。日本チームの中心的人物、心強いお兄さん的存在ですね。
 体はすごく大きくて、身長が190センチ近くあり、体を大きく使えるのが彼の特徴です。(競泳は)体が大きければいいというものではないのです。大きな手をしていると、(水を)いっぱいつかめますが、(その分たくさんの水をかかないといけないため)後半になってしまうと疲れてしまう。体を使いこなすまでに時間がかかるのです。
 ですが、細川選手はずっとトップで頑張ってきて、自分の体を知っているし、ダイナミックな泳ぎに期待です。

男子自由形代表の伊藤真 【Photo:北村大樹/アフロスポーツ】

(50m代表の)伊藤選手は、スプリンターで(性格は)すごく面白い選手です。「趣味がウエイト」と言うくらい一生懸命ウエイトトレーニングに取り組んでいる選手で、みんなにいつも「筋肉、筋肉」って突っ込まれています(笑)。マッスルスイマーですね。
 伊藤選手も体が大きくて、外国人の選手にもひけをとらないくらいです。2月の東京都記録会(短水路)では、50mで自身初めての日本新を出しました。初めて日本新を出したことってすごく自信になるのです。わたしも初めて日本新を出した年は、すごくステップアップができました。だから彼も初めての日本新を出したという自信で満ち溢れているので、「なんかいけそうな気がします」という発言をしてくれます。3月の短水路選手権でも日本記録を塗り替えていいタイムを樹立したので、かなり勢いにのっている選手です。

 この種目は、山野井(智広)さんが2001年の世界選手権(福岡)のときに、銅メダルを獲得された種目です。あのときも日本人がスプリント種目で決勝に残ること自体が初めての快挙だったので、そういった意味では50mという種目は何が起こるか分からない種目です。チャンスがピンチになるし、ピンチがチャンスになる。伊藤選手には大きなチャンスをものにしてもらいたいです。

「人間力の松田を応援!」

男子自由形(長距離) 松田丈志

 松田選手に注目ですね。バタフライと自由形に出場するオールラウンダーです。彼は人間力がある選手です。選手としてももちろんですが、人間としても心から応援したくなる選手のひとりです。

 (自由形では)400mと1500mに出場するのですが、(アテネ五輪、前回モントリオール大会の400mで)今までずっと決勝の舞台に残っているのです。そんなに知られていませんが、男子の自由形では本当に快挙なのです。今回も上位に食い込めるくらいの力を付けているので、強気なレース展開をしてもらいたいです。
 同じアジア人で、ここ最近かなり伸びてきてすごく注目を集めているパク・テファン選手。松田選手は、去年のアジア大会ではパク選手と泳いでかなり差をつけられました。そのときの結果は、パク選手が優勝で、松田選手は3位でした。すごくショックを受けたようですが、同じアジア人として頑張りたいという気持ちもすごくあるみたいです。

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著者プロフィール

2000年シドニー五輪200メートル背泳ぎ4位入賞。「ハギトモ」の愛称で親しまれ、現在でも4×100メートルフリーリレー、100メートル個人メドレー短水路の日本記録を保持しているオールラウンドスイマー。現在は、山梨学院カレッジスポーツセンター研究員を務めるかたわら、水泳解説や水泳指導のため、全国を駆け回る日々を続けている

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