シャラポワ、壮烈な闘争心でエナンを砕く=全米オープン
興奮収まらず
果敢に攻め、二つ目の4大大会タイトルを手にしたシャラポワ 【Getty Images/AFLO】
「私は全米オープンのチャンピオンよ。まさか、みんながバナナのことを聞きたいなんて思わなかったわ(中略)。ああそう、それはいいことを聞いたわ。バナナを食べれば勝てるって、みんなに教えてあげなくちゃね。サンキュー!」
スタンドの父親やコーチが「バナナ」と言えば(シャラポワが)バナナを食べる姿が、決勝だけでなく大会中に何度かテレビに映し出されていた。コート外からアドバイスを送るコーチングは、いまのところまだ禁じられているため、記者はその内容を知りたがったのだ。シャラポワの挑戦的な対応は、しかし、そのことへの単純な反発ではなかっただろう。決勝のプレーの勢いを引きずっていたのだ。攻めに攻め切った末の、念願のメジャー2勝目だった。
念願への固い決意
第1セットの第2ゲームをブレークされたが、ここで二つのダブルフォールトがあった。第2セットの最初のサービスゲームでも二つ――サービス・ミスは確かに相手にタダでポイントを献上する失敗に違いないが、強いサーブを打ち込むほどその確率は高くなる。すなわち、攻めれば攻めるほどダブルフォールトも増える。それでも、仮に失点しても、自分の攻撃への強い気持ちは伝わり、それが相手のプレーに影響を与えることにもなる。シャラポワはスロースターターだが、固い決意が表れたのは第8ゲーム。サービスエースから入ってラブゲームで攻め上げてから、続く第9ゲームをブレークして流れを引き寄せた。
2強を倒した自信
全米オープンは初優勝、歓喜の叫びの後には投げキスも 【Getty Images/AFLO】
「今夜のマリアは、とっても勇敢だった。それがこれまでとの大きな違いだった」
エナンはそう振り返って完敗を認めている。では、モレスモ、エナンにも勝ったシャラポワの自信は次にどう向かっていくのか。それがこれからの楽しみになった。
ちなみに、記者会見で問題になったコーチングは、すでに容認・制度化に向け、ツアーで試験的に採用されている。1セットにつき一度だけ指定コーチがコートに降りてアドバイスを与えるというこの改正案は、おおむね選手に好評。おそらく来年は、誰もシャラポワに“イチャモン”をつけることはなくなっているだろう。
<了>
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