強豪TASAKI休部の衝撃、今後の行方
なでしこジャパン飛躍の陰で

「残された時間を大切に」

このメンバーでプレーできるのはあとわずか。彼女たちの今後はどうなるのか
このメンバーでプレーできるのはあとわずか。彼女たちの今後はどうなるのか【早草紀子】

 そんな中、11月8日にはホームズスタジアム神戸でリーグ最後となるホームゲームが行われた。皮肉にもダブルゲームで組まれていたこの日の第2試合でベレーザがINACに勝利したため、ベレーザの優勝がここで決まってしまった。

 そして翌週の16日、マリーゼとの対決のためにTASAKIはJヴィレッジに乗り込んだ。休部発表からこれまで、チーム体制が宙に浮いた状態にありながら必死にサッカーを続けてきた選手たち。何とか自分たちのサッカーを取り戻そうと選手たちも懸命だった。今期最後のホームゲームとあって負けられないマリーゼが、序盤から積極的に攻撃を仕掛けたが、TASAKIは安定した守備で押さえ込みながら落ち着いて攻撃を組み立てていった。


 28分には、甲斐潤子のスローインを池田が大きくゴール前へ入れ、大谷がうまく頭で流し込んでTASAKIが先制点を挙げる。後半に入り、試合は一進一退の展開に。マリーゼは終盤、最終ラインの宮崎有香を前線に上げてゴールへの執念を見せたが、TASAKIが大谷の1点を守り抜き、勝利を収めた。


「この1週間は特にいろいろありましたから……。残された時間を大切にという思いは強かった。でも今日勝てたから少し落ち着くと思います」と池田。ピッチで戦う選手たちに、こういったサッカー以外の妙なプレッシャーがかかるのは本来あってはならないことだ。それでもしっかりと前だけを見て選手たちは戦い抜いた。

 ゲーム終了後、マリーゼのサポーターから「TASAKIペルーレ!!」の声が上がった。マリーゼもYKKから移管という形で今に至っているチームである。その声に気がついた選手たちは、マリーゼサポーターの前に駆けていくと一礼した。マリーゼサポーターからは温かい拍手が惜しみなく送られ、そのエールはTASAKIのサポーターにも向けられた。遠く福島の地にも足を運んでいるサポーター。「ペルーレの魅力はフェアプレーと懸命さ。そのサッカーが好きでみんな応援しているんです。とにかく必ず最後まで応援するから、最後だからって変に気負ったりしないでいつも通りのペルーレらしいサッカーを貫いてほしい」。選手たちにもその思いは十分に伝わっているだろう。


 リーグは残り1試合だが、まだ全日本女子選手権が残っている。チームカラーであるロゼのユニホームに袖を通す機会は確実に少なくなっていく。今のチームメートとともに戦うこともなくなってしまうかもしれない。「残された時間を大切に」――サポーター、支えてきてくれた多くの人たちの思いをボールに乗せて、TASAKIは最後のその一瞬まで戦い抜くことだろう。そんな選手たちからサッカーが奪われることがないよう、願わずにはいられない。


<了>

早草紀子

東京工芸短大写真技術科卒業。1993年よりJリーグ撮影を開始。1996年から日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンとなる。以降、サッカー専門誌で培った経験を武器に、サッカー撮影にどっぷり浸かる。現在はJリーグ・大宮アルディージャのオフィシャルフォトブラファーであり、日本サッカー協会オフィシャルウェブサイトでは女子サッカー連載コラムを担当している

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