それぞれの思いが交錯したミラノ・ダービー
ロナウジーニョがミランを勝利へ導く
初のミラノ・ダービーを勝利で飾ることができなかったインテルのモリーニョ監督 【Getty Images/AFLO】
ペナルティーエリア内で能力を発揮する典型的なFWインザーギとボリエッロを欠くミランは、パトをワントップに置き、カカとロナウジーニョをトップ下に、中盤には右からガットゥーゾ、セードルフ、アンブロジーニ、DFは右からザンブロッタ、マルディーニ、カラーゼ、ヤンクロフスキ、GKにアッビアーティという4−3−2−1の布陣。
一方のインテルは、3トップの中央にイブラヒモビッチを置き、左右にクアレスマとマンシーニ、中盤の3人は右からビエイラ、カンビアッソ、サネッティ、ディフェンスラインに右からマイコン、ブルディッソ、マテラッツィ、キブー、GKに守護神ジュリオ・セーザルという4−3−3の布陣で臨んだ。
試合は互角の展開から、徐々にミランの前線に陣取るテクニシャンがインテルのディフェンス陣を翻弄(ほんろう)する場面が見られるようになる。そして、前半36分にミランが先制する。インテルのオフサイドトラップをギリギリで回避したカカが、右サイドからインテルゴール前へクロスを上げると、後方から飛び込んだロナウジーニョが跳躍一番、完ぺきなヘディングシュート。ボールは見事にインテルゴールに突き刺さった。試合はその後、一進一退で進み前半を終了。
両チームともメンバーチェンジなしで後半が始まる。1点を挽回(ばんかい)したいインテルは、後半14分にDFマテラッツィとMFビエイラに代えて、FWのクルスとアドリアーノを投入。しかし、“超”ベテランのキャプテン、マルディーニを筆頭にミランのディフェンス陣が踏ん張り、インテルは同点ゴールを奪えないまま試合が経過。後半32分には、ブルディッソがこの夜2枚目のイエローカードをもらって退場となり、数的不利となったインテルの反撃も衰え、その後はミランが試合をコントロールして1−0のまま終了した。これで両チームの対戦成績は、ミランの105勝91敗72分けとなった。
ミランの勝因、インテルの敗因
今シーズンのピルロはシーズンオフの試合も含め、パスの精度やコンディションの悪さが目立っている。しかし、コンディションが悪くても、なかなかピルロをスタメンから外せないのがつらいところでもある。これまでのピルロのゲームメーカーとしての実績が、監督にピルロを外すという選択を躊躇(ちゅうちょ)させるのだ。だが、“都合よく”ピルロが負傷してくれたおかげで、アンチェロッティはコンディションの良いセードルフを迷わずにゲームメーカーとして起用することができたのだと思う。
そのほかにも昨シーズンから、ミランの足を引っ張ることが多かった不安定なディフェンスラインが最後まで集中力を切らさないでプレーを続けたことや、セードルフを補佐したガットゥーゾとアンブロジーニの運動量、そしてパト、カカ、ロナウジーニョのブラジル勢がコンディションを回復してきたことなどが挙げられる。
インテルの敗因としては、何よりも左右のサイドからの攻撃がほとんど機能しなかったことが響いた。特に今シーズン開幕から絶好調のマイコンのパワフルな攻め上がりが、この日は全くと言っていいほど見られず、マンシーニとクアレスマの両ウイングも対峙(たいじ)するミランのサイドバックに抑えられてしまった。
スペシャルマッチであるデルビー・ミラネーゼに敗戦し、首位から転落したインテルだが、せめてもの慰めは試合後にモリーニョも語ったように、スクデット争いのライバルと見られる4チーム(ユベントス、ミラン、ローマ、フィオレンティーナ)が、まだインテルより下位の順位にいることだ。
第5節を終え、インテルに替わり単独首位に立ったのはラツィオ。ほかにもナポリやウディネーゼ、それにカターニャとパレルモのシチリア勢など、今シーズンは元気な中堅どころが目白押しである。まだ第5節を終了しただけだが、なにやら近年になく非常に面白いカンピオナート(リーグ戦)になるような気がしてしようがない。
<了>