伊東勤氏が読む! 短期決戦を勝ち抜く方法=MLBプレーオフ

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エンゼルスvs.レッドソックスの勝者がそのまま駆け上がるか

レオ黄金期を支えた伊東勤氏がスポーツナビ初登場! プレーオフの戦い方を解説 【スポーツナビ】

――MLBプレーオフが10月2日(日本時間)に始まります。プレーオフ出場全8チームの中で、ワールドチャンピオンに最も近い「本命」、「対抗」、それに「大穴」となるかもしれないチームはどこだと思いますか?

 「本命」はエンゼルスかな。アメリカンリーグではエンゼルスとレッドソックスが「2強」ですけど、レッドソックスはエンゼルスにものすごく分が悪いんですよね(シーズン1勝8敗)。両チームがいきなり「地区シリーズ」で対戦して、つぶし合いますからね。もったいない(笑)。
 「対抗」はカブス、「大穴」はレイズかな。レイズはエンゼルスに(6勝3敗で)勝ち越しています。レイズは東地区1位のチームですし、シーズン終盤の勝負どころでレッドソックスに追い上げられても4勝2敗で勝ち越していますから、底力が付いています。

――レッドソックスと、最も勝率の高いエンゼルスとの対戦は面白そうですね

 ここでどう戦っていくか注目ですね。レッドソックスにとってはけっこう「正念場」なんですよね。レギュラーシーズンでエンゼルスに負け越して分が悪いだけにね。短期決戦になれば何が起こるか分からないですけど……。逆にエンゼルス側としては、「組み易し」と考えているでしょう。そして、初戦は取りたいところですよね。

――レッドソックスがエンゼルスを破るために必要な条件とは?

 レッドソックスはとにかく打線の強いチームなので、投手陣の頑張り、出来にかかっていると思います。

「シーズン中に打たれた主力打者を徹底的に封じろ」

キャッチャー出身のエンゼルス・ソーシア監督は相手チームが嫌がる緻密な野球が持ち味 【Getty Images Sport】

――エンゼルスの打撃陣で警戒すべき打者は誰ですか? 伊東さんがレッドソックスのマスクをかぶる、あるいは監督でしたら投手陣にどういう指示を出しますか?

 特にクリーンアップですね。全員は抑え切れないですよ。特にレギュラーシーズンでやられている選手が必ずいるはずなんですけど、それを徹底して抑え込むことでしょうね。打たれている打者を意識して徹底的に抑え込むのが短期決戦の戦い方の一つなんです。シリーズが5戦、7戦ぐらいまで長引いても、徹底して主力の打者を抑えることによって、得点能力が当然減るんですよ。早い回に抑えてしまえば、おそらくそのシリーズは「死んでしまう」と思うので。調子に乗せないことですね。

――今季のエンゼルス打線はよくつながるし、走塁や守備でもとても堅実な攻撃をしている印象があります

 やはりエンゼルスのマイク・ソーシア監督はキャッチャー出身ですからね。「心理的に揺さぶる野球」がすごく好きだと思うし、「自分がやられたら一番嫌だ」ということを仕掛けていると思います。

――伊東さんがマスクをかぶっていたときは何をやられるのが一番嫌でしたか?

 「次は何をやるんだろう」っていうことですね。実際には動かなくてもいいんです。動かなくてもいいんですけど、そういう「気配」を感じさせることがすごく大事なんですよね。シーズンの戦いの中で、「必ずランナーが出たら動かしてくる」というイメージを植え付けているので、逆に何も動かなくても勝手に相手が警戒してくれるっていう、それもある意味「強さ」の一つなんですよね。

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