マルセイユとリヨンに意地は見えたか=欧州CLに挑むフランス勢
「リヨン有利」の予想にも……
不評を買った蛍光色の黄色い新ユニホーム。赤と青、それがリヨンのカラーなのだ 【横尾愛】
実際、戦前に話題になっていたのは試合そのものより、リヨンの新しい蛍光色の黄色いユニホームだった。「オーラス会長のマーケティング政略は大いに結構だが、リヨンの伝統色である赤と青に全く関係ない色を使うのはどうなのか。何よりダサい」と、最初から絶不評だったこのユニホーム。スウェーデン代表MFシェルストレムも、「僕はスウェーデン代表の黄色の方が好きだな」と控えめにメディアに語ったものである。
ところが試合が始まると、ユニホームの話どころではなくなった。12分、右上からDFザウリが放り込んだクロスにFWジラルディーノが飛び込んでヘディングシュート。GKロリスは足を滑らせ、なす術もなく先制点を献上した。トップのフレッジに全くボールが収まらないリヨンは、42分にも右から楽々とムトゥに折り返され、フリーになっていたジラルディーノに2点目を許した。
ため息の出るような連係プレー
フィオレンティーナのMFアルミロンとメロの厳しいチェックに手を焼くリヨンは60分、守備的MFマクーンを下げてMFエデルソンを送り出し、65分にはFWフレッジをFWピキオンヌに代えて息を吹き返す。
73分、エデルソンからのスルーパスにベンゼマが走り、右のピキオンヌに送ってまず1点を返すリヨン。フィオレンティーナの選手たちはオフサイドを主張して猛抗議したが、DFザウリが左ポスト前で倒れていた中でのプレーだったため、聞き入れられず。ちょっとした騒ぎが収まった後、ベンゼマとジラルディーノにイエローカードが出された。
続いて86分、今度は文句のつけようのないゴールでとうとうリヨンが追いつく。フリーキックのチャンスにジュニーニョは直接狙わず、意表を突いて右のベンゼマにパス。ベンゼマはニアにこれをたたき込んだ。ジュニーニョのようなフリーキックの名手の場合、「蹴らなく」ともフェイントになる。ため息の出るような連係プレーで、リヨンは勝ち点1を拾ったのである。
物議を醸すルール変更
リヨンの1点目をめぐり、両チームの間でちょっとした小競り合いが…… 【Getty Images/AFLO】
なお、このルール変更はリーグアンでも騒がれたことがある。第3節、ナンシー対トゥールーズで、プレーを止めなかったFWディアに怒ったトゥールーズのDFチェットが、ディアに食ってかかって退場になったのだ。ナンシーのコレア監督は試合後の会見で、なぜか記者に混じって来ていたチェットに向かって、「新しいルールを教えてもらわなかったのか? 審判が何も言わなきゃ、プレーを止める必要はないんだよ」とまくしたてていた。
だが、広いピッチで倒れた選手が重傷か否か、その判断を審判だけに任せるのはやはり危険すぎないだろうか。今までのように、選手の自主性に任せてプレーを止める方が良くはないか。この変更で、フットボールが“紳士のスポーツ”から遠ざかっていくと感じるのは、センチメンタルにすぎるのだろうか?
それとも、試合前の「もちろん勝利」から、「よく追いついた、さすがリヨン」にメディアの論調が見事にひっくり返っているのと同じで、あまり気にしてはいけないのだろうか。
<了>