カブス、100年ぶり世界一へ3つの“仰天”提言=小グマのつぶやき

阿部太郎

バートマンを呼ぶべし

03年当時はカブスでプレーしていたアルー、現在はメッツに所属 【Getty Images Sports】

 スティーブ・バートマン。カブスファンの誰もが、聞きたくないかもしれない。時は2003年のリーグチャンピオンシップ第6戦。ワールドシリーズ進出まであと5つのアウト。しかし、事件は起こる。三塁側ファウルグラウンドに飛んだボールを、当時カブスのレフト、モイゼス・アルー(現メッツ)が捕球しようとすると、三塁側の「Aisle 4, Row 8, Seat 113」に座っていたカブスファン、バートマンがアルーの捕球を妨害した。そして、このプレーの後、カブスは逆転され、第6戦を落としてしまう。第7戦も流れを引き戻すことができず、1945年以来のワールドシリーズ出場は夢と消えた。この敗退に、ファンの非難の矛先がバートマンに集中。これが「バートマン事件」で、後に述べる「ビリー・ゴート(ヤギ)の呪い」と結び付けられたのである。

 だが、あれから5年の月日がたとうとしている。最近、アルーは「彼を許して、前に進むべきだ」というコメントをしたという。前述したように、ことしは“負”の歴史を一掃するというのが至上命題。であれば、プレーオフ第1戦、バートマンを始球式に招待し、すべてを水に流してはどうか。そして、メッツがプレーオフに進出した場合、リグレーでカブスと激突する可能性も高いだろう。そうなればバートマンには当時とユニホームは違えど、「因縁の観客」バートマンとがっちり握手を交わしてもらい、スタンドのファンが万雷の拍手を送る。その後、バートマンには、あの忌まわしき「Aisle 4, Row 8, Seat 113」に座って試合を観戦してもらう。敵守備の際のファウルボールには、一生懸命捕球を試み、カブスの守備のときは一歩下がって見る。忌まわしい過去を洗い流してもらいたい。いい案だと思うのだが、バートマンが来たらカブスファンは黙っていないかもしれない。

ヤギを招待するべし

 最後はやはり、「ビリー・ゴートの呪い」だろう。2004年、レッドソックスが86年ぶりにワールドシリーズを制して「バンビーノの呪い」が解かれたいまとなっては、この「ビリー・ゴートの呪い」が最後の砦となってカブスの前に立ちふさがっている感がある。1945年にビリー・シアニスという熱狂的カブスファンが、ワールドシリーズ第4戦を見ようと、飼っていたヤギを連れて球場を訪れたところ、入場を許可してもらえなかったことが発端だ。その試合からカブスは3連敗を喫し、世界一を逃した。ということは、プレーオフでヤギを招待してみてはどうか。

 球場だと、4万人のファンにいろいろと支障をきたす恐れがあるので、ここは「ルーフトップ(球場の通りを挟んだビルに設置された観客席)」のオーナーが太っ腹な態度でプレーオフの1試合に限り、100年ぶりにちなんで先着100頭のヤギをご招待。それでヤギの大好物の紙を、単なる紙だと面白くないので、敵チームのロゴを入れた紙を、試合中に食べさせ、至福のひと時を過ごしてもらう。これなら、1945年に入場できなかったヤギも、天国から「メー」と喜びの声を挙げ、呪いを解く気がしたり、しなかったり。

 バカげていると言われそうだが、歴史を塗り替えるのは、斬新で、ときに的外れと思われそうなところにヒントがあることが多い。もちろん選手のプレーが一番の原動力だが、備えあれば憂いなし。

 100年ぶりの優勝へ、外壁から固めるべく、いかがでしょうか? カブスの球団関係者とカブスファンの皆さん。

<了>

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著者プロフィール

1978年1月9日生まれ、大分県杵築市出身。上智大卒業後、シアトルの日本語情報誌インターンを経て、スポーツナビ編集部でメジャーリーグを担当。2008年1月より渡米し、メジャーリーグの取材を行う

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