松坂、力でねじ伏せた16勝目の大きな意味
初完封の可能性も「素直に」交代を受け入れ
「ティト(フランコーナ監督の愛称)が出てきた瞬間、終わりかと。ティトも、『まだ投げられるのは分かっているけれども』、とは言っていました。(交代の理由は)中4日とか、あとはきょうの試合の点差(8点差)ですね。最近は素直に(マウンドを)降りるようにしています。駄々をこねることもなく」とレッドソックスの勝ち頭は苦笑いを浮かべた。確かに昨季は、監督にボールを手渡すにあたって、体全体が『イヤイヤ』という動きを見せていたが、今季はグラブをパン!とたたいたり、大きく深呼吸したりして、自分の感情をうまくコントロールしているようだ。
それにしても、完投どころか、自身メジャー初完封の可能性もあった。球数はまだ104。昨年のこの時期と比較すると、プレーオフ出場が安泰ではないチーム事情もあるだろうが、フランコーナ監督は「続投させる理由がみつからなかった」と、先発一番手の右腕に無理はさせない考えを示した。西武時代の松坂をよく知る日本のファンにしてみれば、スッキリしない降板に映ったかもしれないが、今後も中4日での登板が続く限り、8回を終えて90球くらいでないと、最終回のマウンドに立つことは難しいだろう。
狙い通りの内容でつかんだ勝利
これで16勝2敗。開幕前に「(15勝12敗だった)昨年の勝ち星より多く、負け数は少なく」と口にしていたラインをクリアしたが、今回の登板には大きなテーマがあった。
「ホワイトソックスとはこれから先、(プレーオフで)当たる可能性もあります。前回(8月9日、8回4安打1失点)も抑えましたけど、今回は力で抑えたかった。思っていてもなかなかできないことですが、そういう意味ではきょうはいい勝ち方ができたのではないでしょうか」
力で抑えたかった理由は明確だ。
「相手に『なんとかできる(打てる)』ってことをなるべく思わせたくない。それがどのチームに対してもできるようになればいい」
例えば全盛期のランディー・ジョンソン(現ダイヤモンドバックス)やペドロ・マルティネス(現メッツ)がそうだったように、対戦する前から相手に威圧感を与え、勝てるチャンスが少ない、簡単には打てないと思わせる投手はそういるものではない。そういう視点からみると、この日の松坂のピッチングは大きな意味を持つことになるかもしれない。残された公式戦での登板は5試合ほど。今後、どのように勝ち続けていくことができるのか。それによって松坂は相手から見てイヤな存在になり得るだろう。
<了>
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