それでも続くスコラーリ・ポルトガルの進む道=スイス 2−0 ポルトガル

鰐部哲也/Tetsuya Wanibe

スコラーリのチェルシー監督就任発表に地元メディアは騒然

主力を温存して敗れたポルトガルだが、視線はすでに準々決勝より先に向かっている 【Getty Images/AFLO】

 チェコ対ポルトガルの試合が終わったあとの「スタッド・ドゥ・ジュネーブ」のプレスルーム。グループリーグ2試合目にして早々と首位通過を決め、浮かれ気分のポルトガルメディアに、冷や水を浴びせかけるようなニュースがチェルシーの公式サイトに掲載された。サイトに踊る「ルイス・フェリペ・スコラーリ、チェルシー監督就任!」の文字。本国のポルトガルに確認を取るため、真顔に戻った記者連中の電話の声でプレスルームはにわかに慌ただしくなり、雰囲気が急変した。

 このタイミングでの、ポルトガル代表監督の「新しい仕事場」の発表。確かにスコラーリ自身も今大会での目標を「初戦に勝って、グループリーグを突破すること」と語っていたのだから、無事に任務をまっとうした時点での発表は間違いではないかもしれない。しかし、仮にも現在はユーロ(欧州選手権)2008本大会の真っ最中で、しかも優勝を狙えそうな“良い波”に乗るチームの監督を務めている身。本大会が終わるまで発表を遅らせることはできなかったのか?
 さらに翌12日には、デコがFPF(ポルトガルサッカー協会)認可の下、来季の移籍交渉のため、スイスの合宿先を離れ、急きょバルセロナに飛ぶことが許された。デコは、チェルシーのスコラーリかインテルのモリーニョか、どちらの恩師の下に新天地を求めるか迷っているようだが、移籍先は完全に2つに絞られたようだ。
 しかし、この「VIP待遇」とも取れる特別措置も、チームに悪影響を及ぼさないのだろうか? 誰しもがそう思ったはずである。

冷静に対応する選手とチームスタッフ

 しかし、11日のチェコ戦終了後の遅い夕食の席では、選手とチームスタッフの拍手の中、FPF会長のジルベルト・マダイルとしっかり抱き合うスコラーリの姿があった。
 さらにその翌日、合宿先のヌーシャテルで会見に臨んだフェルナンド・メイラは、「このニュースはチームに何の影響も与えないよ。監督の決断とこれまでの功績をたたえるためにも、ユーロの優勝をプレゼントしたいね」とコメント。13日に同じく会見に臨んだ守護神のリカルドも、「サッカー選手がチームを移籍するのが自然なことのように、監督が指揮するチームを変えるのも自然なこと。“ミストレ”(選手のスコラーリの呼称)の(チェルシーでの)新しい仕事は7月1日から始まるわけだけど、(ポルトガル代表の契約がある)6月30日までは、僕らとの仕事に集中してくれるはずだ。監督も僕ら選手もプロだからね」と語った。
 選手間にはあまり同様も驚きも見られないところを見ると、これは選手及びFPFを含めたスタッフには事前連絡がなされていたのだろう。

 試合前日の記者会見では、予想通り「スコラーリのチェルシー監督就任」についての質問が飛ぶことを懸念して、ポルトガル代表の広報担当が「明日の試合(スイス戦)についての質問のみ受け付けます」と言ったにもかかわらず、この話題の質問が集中。スコラーリも、これにはうんざりといった感じだった。
 次の対戦相手、スイスについての質問は皆無。首位通過で「準々決勝一番乗り」を決めた前回大会のホストカントリーと、2連敗で「グループリーグ敗退一番目」となってしまった今大会のホストカントリーの対戦に、見どころを探せと言う方が無理なのかもしれない。試合直前のバーゼル中央駅にも、「チケット買います」のプラカードを手にした人より、「チケット売ります」のプラカードを首から提げた人の方が目立ったぐらいだ。

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著者プロフィール

1972年生まれ、三重県出身。ポルトガルの首都リスボン在住。2004年から約4年間ポルトガルに滞在し、ポルトガルサッカー情報を日本に発信。その後、日本に帰国して約2年半、故郷の四日市市でポルトガル語の通訳として公務員生活を送るものの、“第二の祖国”、ポルトガルへの思慕強く、2011年3月よりポルトガルでサッカージャーナリスト活動を再開した。ブログ「ポルトガル“F”の魂」にて現地での取材観戦記なども発信中である。ポルトガルスポーツジャーナリスト協会(CNID)会員、国際スポーツプレス協会(AIPS)会員

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