ヨーコゼッターランドのバレー五輪最終予選コラム

ヨーコゼッターランド

開幕2連勝 しかし対応される場面も

開幕2連勝とした日本。次戦はアジアの第1関門、カザフスタン戦だ 【Photo:北村大樹/アフロスポーツ】

 大会2日目の日本対プエルトリコ戦は日本が3−1で勝利。2連勝とした。結果として勝ったことは喜ばしいことだが、内容としてはヒヤリとさせられる場面が後半にかけて多く見られたことが気に掛かる。

 何よりもプエルトリコのブロック得点は日本の6点をはるかに上回る14点。1、2セットは目を見張るようなプレーがあるかと思いきや信じられないような基本的なミスが出たプエルトリコ。国際大会の経験が少ない若手選手がチームの大半を占めるため、ラリー中の惜しい判断ミスも見られた。それにもかかわらず10点台後半までシーソーゲームが続いた。20点以降の日本の加点は相手の失点によって得られたところもラッキーだったと言える。第3セットのようにプエルトリコのサーブミスが激減し、3分の1くらいはブロックによる得点だったという印象が強い内容になると、日本は17点止まりの結果となった。外国勢の大きいブロックを利用し、かいくぐっていくために「攻撃面でのスピードアップ、1秒以内のバックアタック」を掲げた戦術のはずだったが、日本の攻撃パターンについて、他国と比較してさほど多くの情報を持っているとは考えにくいプエルトリコに、かくも早くアジャストされてしまったことについては熟考する必要があるだろう。一般的な戦術論として、攻撃が相手に読まれてしまうのはセッターのトスワークだけが原因とは特定できない場合もある。今後のためにもこのプエルトリコ戦はじっくりと分析しなくてはならないと思う。

 明日から試合再開。アジア最初の関門、カザフスタン戦である。日本のリーグでもプレーしたエースのパブロワが変わらず中心となるだろう。ここまで2敗のカザフスタンだが、アジア代表での五輪出場を狙い、気持ちを切り替えて臨んでくることは十分に予想される。日本は隙を作らぬよう、そして相手の隙にはグイグイとつけこんで、快勝してもらいたい。

コートサイドで気になったこと

 最後にコートサイドの話題と思いを……。
 連日、たくさんの方が応援に来て下さり、本当に感謝している。芸能界からは昨日、演歌界の大御所である北島三郎さんが観戦に訪れ、会場で紹介された。北島さんの紹介には、感謝の気持ちと敬意を表して何の異論もない。一方で、連日会場に足を運び75歳という年齢を感じさせないバレーボール界の大先輩であり、東京五輪の金メダリストである河西(現・中村)昌枝さんが一度も紹介されないのは本当に残念なことだ。スポーツに教育や礼儀を求め、子どもたちにとって夢や希望を与えるものだと位置付けるのであれば、その世界で大変な時代を支え続けてきた方々に対して欠礼することがあってはならないと思う。いまだにスポーツが文化としてその地位を確立できないのは、このようなことにも表れているのではないだろうか。関係者はぜひ、ご一考を。

<了>


※第2回は5月22日(木)掲載予定。

2/2ページ

著者プロフィール

1969年、米国(サンフランシスコ)生まれ。6歳から日本で育ち、12歳で本格的にバレーボールを始める。早稲田大学卒業後に単身渡米し、米国ナショナルチームのトライアウトに合格。USA代表として1992年バルセロナ五輪で銅メダルを獲得し、1996年アトランタ五輪にも出場した。現在はスポーツキャスターとして、各種メディアへ出演するほか、後進の指導、講演、執筆など幅広く活動している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント