調整は順調 成熟度を上げて連覇を目指す=宮崎キャンプリポート 鹿島アントラーズvs.ホンダロック

中倉一志

順調に過ごした宮崎キャンプ

 つい数日前には氷点下を記録した南国宮崎にも、ようやく春の日差しが戻ってきた。時折吹く風に冷たさは残るが、グラウンドの上に高く広がる青空はいつもの宮崎の空。それは、この地で新しいチャレンジに向けての準備を重ねるチームを声援しているようにも見える。

 4日に宮崎入りした鹿島は、ここまで徹底したフィジカルトレーニングで体をいじめてきた。リーグ戦に並行してACL(アジアチャンピオンズリーグ)を戦う今シーズン。鹿島は栄誉とともに多くの負担も抱える。しかし、それを乗り越えて再び頂点に立つことで、チームの栄光と誇りは確固たるものになっていく。その力を蓄えるためのキャンプに精力的に取り組んできた選手たちは、栄光に向けて確実に歩みを進めているようだ。

 U−23日本代表の米国遠征に石神直哉と伊野波雅彦が、東アジア選手権の日本代表に岩政大樹、内田篤人、田代有三が招集されたため、全員がそろってのキャンプとはならなかったが、それも強者の宿命。また興梠慎三の離脱は残念だが、全体的に見れば順調に過ごしてきた。「大きなけがもなく順調に進んでいる」と石井正忠フィジカルコーチも満足げな表情を浮かべている。そして15日、ホンダロックとの練習試合を行って宮崎キャンプを打ち上げた。

力の差を見せつけたホンダロック戦

 15日のホンダロックとの練習試合で、鹿島は4−3−2−1の布陣で臨んだ。最終ラインは右から笠井健太、金古聖司、大岩剛、新井場徹の4人。中盤の底には青木剛と小笠原満男が並び、そのやや左前に本山雅志が構える。2シャドーにはダニーロと野沢拓也。そして1トップにマルキーニョスを置く。

「今日の試合はあくまでも練習の一環。ただ、自分たちがやるべきこと、基本的な約束事は頭の中で整理されていると思うので、実戦に向けて、そのスイッチを入れようと要求した」(オズワルド・オリヴェイラ監督)。大きな展開からのサイド攻撃、2列目からの飛び出し、細かいパスワークからの崩し。選手たちは、その要求にしたがって自分たちの戦いを着実に進めていく。

 鹿島の先制点は3分。右サイドから崩して最後は本山がゴールネットを揺らす。さらに15分、突破を図ったマルキーニョスがGKに倒されて得たPKを本人が決めて2点目をゲット。24分には野沢が3点目を奪って力の差を見せ付けた。その後、ややリズムを崩して攻め込まれるシーンも作られたが、疲労が蓄積した中での今シーズン初めての練習試合ということを考えれば、それはやむを得ないだろう。

 両チームとも、ほぼ全員が入れ替わった後半も鹿島が力を発揮。74分に失点を喫したものの、51分に小谷野顕治が挙げた得点を皮切りに5得点を追加。最終スコアは8−1で、キャンプの打ち上げとしては最高の形で幕を閉じた。

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著者プロフィール

1957年生まれ。サッカーとの出会いは小学校6年生の時。偶然つけたTVで伝説の「三菱ダイヤモンドサッカー」を目にしたのがきっかけ。長髪をなびかせて左サイドを疾走するジョージ・ベストの姿を見た瞬間にサッカーの虜となる。大学卒業後は生命保険会社に勤務し典型的なワーカホリックとなったが、Jリーグの開幕が再び消し切れぬサッカーへの思いに火をつけ、1998年からスタジアムでの取材を開始した。現在は福岡に在住。アビスパ福岡を中心に、幼稚園、女子サッカー、天皇杯まで、ありとあらゆるカテゴリーのサッカーを見ることを信条にしている

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