調整は順調 成熟度を上げて連覇を目指す=宮崎キャンプリポート 鹿島アントラーズvs.ホンダロック

中倉一志

手応えは十分

「疲労が蓄積していることを考慮すれば非常に良かったと思う。徐々にチームを合わせていくことを選手たちに言っているし、今日の試合は最初から45分しかプレーさせないと伝えていた。来週にもプレシーズンマッチがあるが、今日先発したメンバーはプレーする時間が長くなるだろうし、最終的には3月8日の開幕に備えて準備ができればと考えている。そういう前提ではうまくやれたと思う」とは試合後のオリヴェイラ監督。チームの仕上がり具合に手応えを感じているようだ。

「去年やってきたことを思い出すことがキャンプでのチームが目指すところだった。まずはゼロックス・スーパーカップに向けて、去年積み上げてきたものにプラスアルファを出せるようにすることが大事になる」とは新井場。その狙い通り、この日の試合では鹿島の戦い方の基本的な部分は十分に表現できた。まだ調整段階とはいえ、初めての練習試合でここまでできるのは鹿島の底力によるものだろう。

 そして本山。この日は初めて試すシステムとポジションに順応しつつ、2列目からの飛び出しという自分の持ち味も発揮した。「今はチーム状態を上げていっている段階なので、こんなものかなと思う。もっと上げていかないとリーグでは勝てないので、しっかりと精度を上げていきたい。もっとミスを少なくしたいし、プレスも速くしなければいけないし、判断も速くしなければいけない。鹿島に帰ってしっかりやりたいと思う」。そう振り返って宮崎を後にした。

必要なものはチームの成熟

 この後、鹿島は地元での調整を続け、2月24日の水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチ、今シーズン最初の公式戦であるゼロックス・スーパーカップを経て、2連覇を目指す2008年のリーグ開幕戦を迎える。

 2連覇、そしてアジア制覇に向けてのポイントについて、オリヴェイラ監督は詳細については明かせないとしながらも次のように話す。「ゲームを読むという力、それぞれの場面で何を求められていて、何をしなければならないのかということを把握する成熟さ。それを、もう少しチームとして持たなくてはいけないのかなと思う」。流れに応じてゲームをコントロールするのが鹿島の真骨頂だが、監督の目から見れば、まだまだ不十分ということなのだろう。

 また、柳沢が抜けた今年はFWの駒不足という心配が残るが、その対策のひとつが、この日見せた4−3−2−1の布陣と見ていいだろう。「後ろからビルドアップして作って、後は満(小笠原)とか、青木がしっかりと守ってくれているときに前に飛び出していけばいい。拓(野沢)とダニーロもそういう意識でやってくれている。問題はない」と本山も違和感なく取り組めたことを口にした。

 そして昨年との大きな違いは、シーズン終盤に合わせてチーム作りをするのではなく、その勢いをシーズンの初めから発揮することを目指している点だ。果たして、開幕でどんな姿を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

<了>

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著者プロフィール

1957年生まれ。サッカーとの出会いは小学校6年生の時。偶然つけたTVで伝説の「三菱ダイヤモンドサッカー」を目にしたのがきっかけ。長髪をなびかせて左サイドを疾走するジョージ・ベストの姿を見た瞬間にサッカーの虜となる。大学卒業後は生命保険会社に勤務し典型的なワーカホリックとなったが、Jリーグの開幕が再び消し切れぬサッカーへの思いに火をつけ、1998年からスタジアムでの取材を開始した。現在は福岡に在住。アビスパ福岡を中心に、幼稚園、女子サッカー、天皇杯まで、ありとあらゆるカテゴリーのサッカーを見ることを信条にしている

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