内山高志、不完全燃焼でリベンジならず コラレスの老獪さの前に攻めきれず

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ディフェンス対策の成果は出たが……

内山も対策が実ったところもあったが、後一歩畳みかけられなかった 【赤坂直人/スポーツナビ】

 一方、内山は、ガードを高く上げてしっかりとブロックしてからパンチを打ち返す、ワンツーで前に踏み込んだあとは相手にリターンの隙を与えず距離を潰すなどディフェンス面を重視した対策を練ってきた。試合後に「ストレートを一発もらったけどダメージはそこまで」と右頬こそやや赤くなっていたものの、ある程度の成果は出せていたと言える。

 しかし、「リベンジマッチはもっと大差でポイントを取らなくちゃダメ。KOを狙わないといけなかった」と振り返ったように、数々の猛者たちを葬ってきた強打の右をほとんど出せずじまいだった。5ラウンド終盤にはダウンを奪ったが、これはフックがタイミング良くかすめたスリップ気味のダウンで、ダメージを与えるにはいたらなかった。10ラウンドにはボディを突き刺し、コラレスの上体が一瞬浮き上がるなど手応えはあったものの、内山いわく「うまくさばかれた」と畳み掛けられなかった。

 コラレスの手数にやや手を焼いていた中盤までと違い、終盤は内山のペースになった。しかし、なりふり構わないクリンチもあったが、内山側からも距離を詰められなかった。前回のKO負けを映像で見た内山が「カウンターはさすがだな、と思った。見えない角度から打ってきた」と評価した変則的なパンチを意識し、力が最大限伝わるストレートを打つための一歩が踏み出すことができなかったのだ。結果、単発の攻撃にとどまり、中盤まで手数で勝るコラレスへ流れたジャッジを覆すにはいたらなかった。

「今は考えられない」と進退明言せず

「リベンジだけを考えてきたので今は何も考えていない。ゆっくり休んでから」と進退は明言しなかった 【赤坂直人/スポーツナビ】

 4月の敗戦から1週間で沸き上がってきたコラレスへのリベンジの思いで突っ走ってきた8カ月。全身全霊をかけてきた内山だが、コラレスの老獪さの前に「中々打たせてくれなかった。試合が終わってから疲れがなかった」と振り返った。確かに大きなダメージもなく、さりとて相手側を圧倒したわけでもなく、不完全燃焼の感はぬぐえないが、「これが実力です」ときっぱり。今後については「リベンジだけを考えてきたので今は何も考えていない。ゆっくり休んでから」と進退は明言しなかった。

 高校1年から始めたアマチュアボクシングでタイトルを獲得したのは大学4年のときだった。井上尚弥(大橋)や井岡一翔(井岡)のように決してアマチュアのエリート街道を歩んできたわけではない。むしろ負けん気いっぱいの雑草魂でその地位を築いてきた。

 37歳となった“KOダイナマイト”の闘志に再び火がつくのか。その決断の行方が注目される。

(取材・文:竹内英之/スポーツナビ)

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