最多勝のソフトバンク・和田毅 立浪和義氏が知る特徴と強み

週刊ベースボールONLINE

安定感抜群のピッチングで勝ち星を重ね、最多勝に輝いた和田 【写真:BBM】

 アメリカ球界から復帰1年目で15勝を挙げ、パ・リーグの最多勝となった福岡ソフトバンクの和田毅投手。シーズン最終盤は故障で離脱してしまいましたが、5敗と負け数も少なく、チームへの貢献度の高い投手でした。

内角にしっかり投げ切れる投手

 現役時代、リーグこそ違いましたが、私も対戦があります。当時のホークスには和田投手、杉内俊哉投手(現巨人)と、本格派とも変則派とも言えない、非常に打ちにくい左腕がエース格で活躍していました。和田投手に関しては、まずあのテークバックの小ささですね。打者からすれば、タイミングがすごく取りづらく、スピードガンの表示以上の速さを感じる投手でした。加えて、これはいい投手の絶対条件でもありますが、ストレートと同じ腕の振りで変化球を投げてくる。速球、キレのいいスライダーをはじめ、全ての球種をウイニングショットにできる、非常に高い技術を持ったピッチャーだと思っていました。

 そしてもう一つ感じたのが、左打者のインコースへのコントロールです。左腕では12球団一と言っていいでしょう。私も左打ちですが、左ピッチャーで左打者のインコースへのコントロールがいい投手はあまりいません。どうしても打者の背中に投げるような角度になりますし、抜けて当てたらいけないという思いもあるのでしょう。自信のない投手は、ひっかけて中に入れてしまい、打たれることも多くなります。

 和田投手に関しては、リリースの位置が安定しているからだと思いますが、いつも自信を持って厳しいコースに投げ込んできました。右打者にはクロスファイアの速い真っすぐもありますし、左右関係なく、内角にしっかり投げ切れる投手でした。

フォームと投球術を若い時期から確立

 2012年からのアメリカ時代は左肘を痛め、納得できる成績を挙げることができませんでしたが、投手というのは、ずっと万全の状態というわけにはいきません。キャリアを重ねるうちに、どうしても肩や肘を痛めたり、スピードが落ちてきます。その中で長く活躍する投手は、壁に当たったときに球種を増やすなどさまざまな工夫をし、スタイルを変化させながら対応していきます。

 和田投手も35歳とベテランになり、復帰後はスタイルがどう変わるのかなと思っていましたが、確かにツーシーム、カットボールなど球種は増やしながらも、ストレートを軸にしながら攻めるスタイルは変えていないように見えます。それだけ若い時期からフォームも投球術も確立していた投手ということが言えるのかもしれません。

 体さえ万全なら来季も間違いなく、先発の軸になっていくはずです。
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