ペップのメソッドを少年チームで実践する スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(12)

木村浩嗣

練習をすべて1つのサーキットトレーニングで行う

グアルディオラの練習メソッドを指導する少年チームで実践してみた(写真はマンチェスター・シティの練習風景) 【写真:ロイター/アフロ】

 1カ月前、ちょうど指導者としての新シーズンが始まる直前、『月刊フットボリスタ』誌の依頼で、ジョゼップ・グアルディオラに関するドキュメンタリーやコーチングメソッドなどの動画数時間分をまとめて見た。昨年6月に参加した指導者向けのワールドカンファレンスでの、グアルディオラのフィジカルコーチが行った講演ビデオもあらためて見直した。

 そうして分かったことは、今発売中の同誌にグアルディオラの練習メソッド紹介、という形で書いたのだが、少年チームの監督としてはそのメソッドを実践してみたくなった。

 グアルディオラのメソッドの1つ目は、ランニングを排除し、ウォーミングアップをロンド(いわゆる“鳥かご”)にする。2つ目は、フィジカルトレーニングでもボールを使う――と、ここまではさほど目新しくはないが、次の3つ目、テクニック、フィジカル、戦術の練習をすべて1つのサーキットトレーニングで行うというのが野心的で特徴的なポイントだ。

45分間、子供たちは回転しっ放し

【写真1】ある日のメニュー。グループAが技術サーキット(2人組でのヘディング)、グループBがボールありとなしのフィジカル、グループCが戦術(GKとの1対1&シュート)。この3つを子供たちが順繰りに回っていく 【木村浩嗣】

 サーキットトレーニングとは、1つの輪(サーキット)の中に複数のエクササイズが組み込まれおり、選手がそれを順番にこなしていくというもの。サーキットトレーニング自体は別に画期的でも何でもなく、私も昨季までは、子供たちを3つのグループに分け、技術向上用のサーキット、フィジカル向上用のサーキット、戦術向上用のサーキットに振り分けて、15分間したらチェンジして45分間で3つのサーキットを全部こなす、というやり方で実践していた。

 しかし、今季からはその3つのサーキットをつないで、グアルディオラのように大きな1つのサーキットを作るやり方に変えた。子供がグルグル回っているうちに自然とテクニック、フィジカル、戦術が総合的にバランスよく身に付くというものだ。3つの輪が1つになれば昨季までのように「チェンジ」は必要ないし、水は飲みたい時に各自サーキットから離脱し、飲み終えたら復帰するというルールにしたので、給水の一斉休憩すら必要ない。結果的に、1時間の練習のうちウォーミングアップの15分間をのぞいた45分間、子供たちは回転しっ放しという状態だ。

 上記の【写真1】の練習メニューを例にとって説明すると、一連の流れはこうなる。

 グループAのヘディング練習を終えた者(コーチから「合格」をもらえた者)がグループBに入って、フィジカル練習(ラダーやジャンプはボールなし。途中で仲間からボールを渡されてジグザグドリブルなど行う)をやり、その後グループCのシュート練習に入る。シュートしたボールは自分で拾って仲間に渡して、すべてのサイクルが終了。水を飲んでもいいし、少し休んでも良い。もちろんそのままグループAに戻ってもいい。

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著者プロフィール

元『月刊フットボリスタ』編集長。スペイン・セビージャ在住。1994年に渡西、2006年までサラマンカに滞在。98、99年スペインサッカー連盟公認監督ライセンス(レベル1、2)を取得し8シーズン少年チームを指導。06年8月に帰国し、海外サッカー週刊誌(当時)『footballista』編集長に就任。08年12月に再びスペインへ渡り2015年7月まで“海外在住編集長&特派員”となる。現在はフリー。セビージャ市内のサッカースクールで指導中。著書に17年2月発売の最新刊『footballista主義2』の他、『footballista主義』、訳書に『ラ・ロハ スペイン代表の秘密』『モウリーニョ vs レアル・マドリー「三年戦争」』『サッカー代理人ジョルジュ・メンデス』『シメオネ超効果』『グアルディオラ総論』(いずれもソル・メディア)がある

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