ペップのメソッドを少年チームで実践する スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(12)
練習をすべて1つのサーキットトレーニングで行う
グアルディオラの練習メソッドを指導する少年チームで実践してみた(写真はマンチェスター・シティの練習風景) 【写真:ロイター/アフロ】
そうして分かったことは、今発売中の同誌にグアルディオラの練習メソッド紹介、という形で書いたのだが、少年チームの監督としてはそのメソッドを実践してみたくなった。
グアルディオラのメソッドの1つ目は、ランニングを排除し、ウォーミングアップをロンド(いわゆる“鳥かご”)にする。2つ目は、フィジカルトレーニングでもボールを使う――と、ここまではさほど目新しくはないが、次の3つ目、テクニック、フィジカル、戦術の練習をすべて1つのサーキットトレーニングで行うというのが野心的で特徴的なポイントだ。
45分間、子供たちは回転しっ放し
【写真1】ある日のメニュー。グループAが技術サーキット(2人組でのヘディング)、グループBがボールありとなしのフィジカル、グループCが戦術(GKとの1対1&シュート)。この3つを子供たちが順繰りに回っていく 【木村浩嗣】
しかし、今季からはその3つのサーキットをつないで、グアルディオラのように大きな1つのサーキットを作るやり方に変えた。子供がグルグル回っているうちに自然とテクニック、フィジカル、戦術が総合的にバランスよく身に付くというものだ。3つの輪が1つになれば昨季までのように「チェンジ」は必要ないし、水は飲みたい時に各自サーキットから離脱し、飲み終えたら復帰するというルールにしたので、給水の一斉休憩すら必要ない。結果的に、1時間の練習のうちウォーミングアップの15分間をのぞいた45分間、子供たちは回転しっ放しという状態だ。
上記の【写真1】の練習メニューを例にとって説明すると、一連の流れはこうなる。
グループAのヘディング練習を終えた者(コーチから「合格」をもらえた者)がグループBに入って、フィジカル練習(ラダーやジャンプはボールなし。途中で仲間からボールを渡されてジグザグドリブルなど行う)をやり、その後グループCのシュート練習に入る。シュートしたボールは自分で拾って仲間に渡して、すべてのサイクルが終了。水を飲んでもいいし、少し休んでも良い。もちろんそのままグループAに戻ってもいい。