９月２２日に開幕を迎える男子プロバスケットボールの新リーグ「Ｂリーグ」。Ｂ１に所属する１８クラブをカウントダウン方式で紹介していく。第１２回はＢ１中地区の三遠ネオフェニックスだ。

　昨シーズンからのメンバーはほぼ残留した。とりわけ日本人選手は在籍年数が長く、ベースがしっかり出来上がっているチームだ。４０歳を迎えてなお主力としてチームの精神的支柱となる大口真洋は、誰よりもチームのことを知り尽すポイントガード（ＰＧ）。１７２センチとリーグ全体を見渡しても、下から数えた方が早い小粒なプレーヤー。だが、勝機を見逃さない嗅覚は衰えることはない。いつでもコートに出ていく準備をし、劣勢でも味方のチャンスを広げるべく果敢なプレーを披露する。

　２０６センチの太田敦也は外国籍選手にも臆することなくマッチアップし、ペイントエリアでは体を張ったプレーでチームを引っ張る。ここ数年は日本代表に定着し、プレータイムを伸ばしてきた。シーズン前に行われた国際親善試合ではスタメン起用に応える積極的なプレーを披露。まだまだ成長を続けるセンタープレーヤーだ。以前、ｂｊリーグオールスターのダンクコンテストでは『進撃の巨人』のコスプレで登場。あまりのハマりっぷりにアリーナは爆笑に包まれた。優しそうな風貌の見た目通り、コートを下りれば笑顔が似合うほんわかキャラの持ち主だ。

　キャプテン・岡田慎吾も三遠には欠かせない１人。シューティングガードとしての役目を全うしチームの勝利に貢献する。

　ここに新たな戦力が加わり、効果的な補強となった。相手の高さに対抗でき、特にディフェンスで力を発揮するプレーヤー、鹿野洵生だ。筑波大から日立サンロッカーズ東京、つくばロボッツ（現サイバーダイン茨城ロボッツ）と移籍をし、その後、信州ブレイブウォリアーズで持ち味のシュート力と粘り強いディフェンスに磨きをかけた。バンビシャス奈良から移籍してきた鈴木達也はＰＧとして、チームにアクセントをもたらすはずだ。昨シーズン、ｂｊリーグでアシスト王に輝いた鈴木が、新天地では優勝を目標にコートを走り回る。

　このように安定感があるチームを率いるのは藤田弘輝ヘッドコーチ（ＨＣ）と、河内修斗アソシエイトＨＣの若手コンビ。くしくもプレーヤーとしてのプロデビューが２００８年と同じだったこの２人が、今度はネオフェニックスで指揮を執ることになった。

　役割分担は明確なはずだが、このオフも、そしてシーズンが開幕してからも二人三脚で大きな目標に向かって突き進んでいくだろう。３０歳の藤田ＨＣと３１歳になったばかりの河内アソシエイトＨＣは、年齢は関係なく、コーチングに関してさまざまなキャリアを積んできている。チームの歴史やプレーヤーの経験値に助けられることもあるだろうが、彼らにしかできない大胆かつ緻密な采配で、Ｂリーグの歴史に、そしてチームの歴史に新たなページを刻んでもらいたい。

　チームの歴史で言えば、ｂｊリーグで３度の優勝を果たした強豪である。大口や太田はいずれもそのコートに立ち、大口は２００９−１０シーズンのプレーオフでＭＶＰを受賞した。またチームは創成期から地元との結びつきが強く、地元の子どもたちが参加するクリニックやバスケットボール大会を数多く開催してきている。

“フェニックス”（今シーズンから三遠ネオフェニックスに改名）の赤いＴシャツを着てアリーナに駆けつけるブースターの年齢層は幅広く、お年寄りから子どもたちまで愛されているのが分かる。チーム名が変わっても、地元に根ざすチームづくりは何ら変りがない。これまで通りの理念を忘れることなく、いつまでも前へ進み続けるチームにブースターも熱い声援を送り続けていく。

（グラフィックデザイン：相河俊介）

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