3季連続優勝がかかる試合巧者・日本生命 注目は152キロ右腕・山岡=都市対抗展望

楊順行

「3連覇?挑戦者として向かっていく」

昨夏の都市対抗、昨秋の日本選手権に続き、社会人2大大会の3連覇を目指す日本生命 【写真は共同】

「オリンピック予選も監督として経験しましたが、都市対抗の予選が世界で一番厳しいと思いますよ」
 山中正竹さんが、そうもらしたことがある。法政大時代に東京六大学最多の48勝を記録し、社会人の住友金属(和歌山市)時代には補強選手として、また監督としても都市対抗優勝を果たした野球殿堂入り左腕の言葉である。そんな予選を勝ち抜いてきた32チームのトーナメントが15日に開幕する。面白くないはずがない。

 前年優勝に敬意を表し、まず日本生命(推薦=前年度優勝チームは予選不参加/大阪市)からいこう。昨年は都市対抗と日本選手権と、史上3チーム目の夏秋連覇を果たした試合巧者だ。ただ春先は「故障者が多く、投手陣もいまひとつ。予選のない推薦出場で、本当に良かった」とは十河章浩監督だ。6月下旬の北海道大会では、昨年の橋戸賞投手の右腕・藤井貴之、清水翔太と山田和毅の両左腕らで、準決勝までの4試合をわずか2失点。決勝では敗れたが、「なんとか上向いてきた。夏秋夏の3連覇? チャレンジャーとして向かっていきます」と十河監督は言う。

昨夏の都市対抗で、日本生命の優勝に貢献し、MVPである橋戸賞を獲得した藤井。今夏も獅子奮迅の働きが期待される 【写真は共同】

 開幕戦では、14年の初戦で敗れ、「社の上層部からボロクソに言われた」(十河監督)三菱日立パワーシステムズ横浜(西関東・第1代表/横浜市)と再戦する。唯一、準決勝まで連戦のない恵まれたゾーンだけに、まずは初戦突破ではずみをつけたい。

右腕は山岡、左腕は三振の取れる田嶋

152キロの速球にプロも注目する東京ガス・山岡泰輔。チームを優勝に導けるか!? 【写真は共同】

 そこへいくと、プロ注目の152キロ右腕・山岡泰輔がいる東京ガス(東京・第3代表)は日程がきつい。優勝するには、2回戦からが4連戦。むろんトーナメントは一戦必勝だが、投手起用がカギを握りそうだ。2次予選では、対クラブチーム以外は最多で2点しか奪えなかった打線の奮起にも期待。

 同じゾーンには、初めて近畿第1代表となった日本新薬(京都市)がいる。2年連続でベスト8。雨天練習場の開設など、環境の充実した今季は有力新人7人を迎え、スポニチ大会も制して初優勝に力が入る。安定感抜群の左腕・榎田宏樹に加え、ルーキー・西川大地は2次予選で完封含む11回を無失点だ。東京ガス、日本新薬ともに勝ち上がれば、準々決勝で対戦する。

 山岡が高卒3年目、プロ解禁年なら、JR東日本(東京都・第1代表)には高卒2年目の田嶋大樹がいる。2次予選では3試合すべてに登板し、エースとして19回3分の1を防御率1.40。左腕からの150キロ近い速球とスライダー、カーブを織り交ぜ、社会人の猛者たちから18三振を奪っている。ただ激戦ゾーンで、初戦は昨年4強の王子(東海・第1代表/春日井市)。昨年29回を投げてわずか1失点というエース・近藤均のカットボールは難敵だ。

創部100年目の日立製作所の初Vは!?

元千葉ロッテのセットアッパーとして活躍した荻野。創部100年目にして初優勝を狙う日立製作所の投手陣を引っ張る 【写真は共同】

 また、創部100年目の節目になる名門・日立製作所(北関東・第1代表/日立市)には荻野忠寛、山本淳と2人の元プロ投手がおり、新人ながら4番を打つ菅野剛士ら打線も強力だ。「100年目への思いや重圧は、『百年の孤独』という焼酎で解消しています」と和久井勇人監督は笑うが、いまだ日立に優勝がないのは社会人野球七不思議のひとつ。節目の年に、どこまで近づけるかだ。

 節目といえば、初出場のきらやか銀行(東北・第1代表/山形市)も、山形しあわせ銀行と殖産銀行が合併して10年目。一時はクラブチームとなったが、創部65年目の初出場は山形市から66年ぶりの出場でもある。

渡辺俊、細山田ら元プロも出場

16年ぶりに新日鐵住金かずさマジックに復帰した元千葉ロッテの名サブマリン・渡辺俊介 【写真は共同】

 元プロに目を向ければ、16年ぶりに新日鐵住金かずさマジック(北関東・第2代表/君津市)に復帰した元千葉ロッテの名サブマリン・渡辺俊介、早稲田大時代は斎藤佑樹(北海道日本ハム)らとバッテリーを組んだ細山田武史(元福岡ソフトバンク)がトヨタ自動車(東海・第3代表/豊田市)の扇の要を務める。

 出場チーム中最多の7回優勝を誇る東芝(西関東・第2代表/川崎市)も侮れない。高卒3年目、山岡のライバル・谷岡竜平が投手陣の軸に成長した。社会人野球王国・神奈川勢はここ2年優勝がないが、3年以上のブランクとなると68〜71年までさかのぼり、そろそろ優勝の年回りかも。ほかに、熊本地震後のボランティアなどからたくましく出場を果たしたHonda熊本(九州・第1代表/大津町)、JR九州(九州・第2代表/北九州市)、西部ガス(九州・第3代表/福岡市)の九州勢にもエールを送りたい。
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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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