冴えなかったジョコビッチ、3回戦敗退 精神的に揺さぶったクエリーが大金星
グランドスラム連続優勝「4」で途切れる
09年の全仏オープン以来29大会ぶりに3回戦で姿を消したジョコビッチ。2日間にわたる試合中、いつもの冴えがなかった 【Getty Images】
大金星のクエリーは198センチの長身を生かしたビッグサーバーだ。高校卒業時にメジャーリーグのデトロイト・タイガースにスカウトされ、バッティング練習でホームランもかっ飛ばした怪力の持ち主だが、これまでウィンブルドンでは2010年の4回戦が最高。ジョコビッチとの対戦成績も1勝8敗と大きく負け越していた。
ダメでもともとのチャレンジの怖さ。ウィンブルドンでは、2013年の2回戦でセルゲイ・スタコウスキー(ウクライナ)がロジャー・フェデラー(スイス)のグランドスラム36回連続ベスト8を止め、2013年の1回戦でスティーブ・ダルシー(ベルギー)がラファエル・ナダル(スペイン)を倒すなどの例がある。
立ち上がりからつまづいたジョコビッチ
ジョコビッチのつまずきは前日の立ち上がり。雨の襲来にも脅かされて攻撃のリズムを作れず、いつもの冴(さ)えがなかった。
第1セット、短い勝負を仕掛けるクエリーに対し、ブレークポイントまで持って行けず、守りながらもつれ込んだタイブレークを落とした。ここが展開の速い芝のサーフェスの怖さ。相手の勢いをくじけぬまま、第2セットは1−6という珍しいスコアで落とした。そこで天が救いの手を差し伸べ、雨脚が強まって順延に。
ジョコビッチは昨年、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)との4回戦で2セットダウンを逆転するなど、グランドスラムで通算4度の大逆転を演じている。しかし、ビッグサーバーを相手に2セットダウンからの挽回は至難の業だ。クエリーは再スタートの第3セットを「アイドリング」に使い、第4セットに勝負を賭けてきた。このセットだけでサービスエースが15本で、ジョコビッチに12度もブレークポイントを握られながら許したブレークは1度だけ。集中力で精神的な揺さぶりをかけ、再び持ち込んだタイブレークで勝負を決めた。