武豊ラニ、米紙オッズは21倍の人気薄 奥野庸介のベルモントS展望

JRA-VAN

ラニは末脚が生きる展開になれば

米国三冠最終戦に挑む武豊とラニ、米紙発表のオッズでは人気薄だが…… 【photo by Tomoya Moriuchi】

 ベルモントSを米国外の調教馬が制したのは、1990年のアイルランド調教馬ゴーアンドゴー(父ビーマイゲスト)しかいない。この年の3冠はケンタッキーダービーをアンブライドルドが制し、2冠目のプリークネスSはケンタッキーダービーで2着したサマースコールが雪辱(アンブライドルドは2着)していた。2歳時に米国へ遠征経験のあったゴーアンドゴーは年明けに地元アイルランドで2走を消化したのち、ベルモントSに遠征。2着馬に8馬身1/4差をつけて優勝した。“よそ者”の楽勝を許した背景には、サマースコールが当時、ニューヨーク州競馬で使用が禁じられていた利尿剤「ラシックス」が使えずに回避したことや、距離が長かったアンブライドルド(ゴーアンドゴーからから12馬身以上離された4着)の不振にあった。

 今年も2冠の勝ち馬が異なっているうえ、ケンタッキーダービー馬のナイキストはここを回避。米国で唯一のダート2400mで争われるG1競走は風雲急を告げている。

 エグザジャレイターとともに3冠皆勤の日本馬ラニはケンタッキーダービー9着、プリークネスSはエグザジャレイターから5馬身差の5着と徐々に着順を上げている。ベルモントパーク競馬場はダート1周が2400mという米国で最大規模の競馬場。ラニの持ち味の末脚が生きる展開になれば、入着以上が期待できる。

エグザジャレイター安定も「混戦」の予感

抜けた1番人気に推されているエグザジャレイター 【photo by Tomoya Moriuchi】

 ケンタッキーダービーでも2着と安定した成績を残すエグザジャレイター(父カーリン、サラブレッドデイリーニュース発表の前売り単勝オッズ2.8倍)が抜けた1番人気に推されそうだ。しかし、この馬にも(全馬が同条件だが)、初距離や、この4か月で6戦目というハードなスケジュールなど死角がないわけではない。

 アメリカンファラオが3冠を飾った昨年は8頭立て。フルゲートに3頭足りないだけの13頭出走が「混戦」を予感させている。

サドンブレイキングニュースはケンタッキーダービーでは不利があった 【photo by Tomoya Moriuchi】

 エグザジャレイター以下の人気はプリークネスS4着のストラディバリ(父メダーリアドーロ、6倍)、ケンタッキーダービー6着のデスティン(父ジャイアンツコーズウェイ、7倍)、プリークネスS2着のチェリーワイン(父パディーオプラド、9倍)、ケンタッキーダービー5着のサドンブレイキングニュース(父マインシャフト、11倍)、ケンタッキーダービー13着のクリエイター(父タピット、11倍)の順。ラニは勝つまでは至らずという見方なのか単勝21倍と相変わらず人気は薄い。

ケンタッキーダービー6着のデスティンにも逆転の可能性 【photo by Tomoya Moriuchi】

 ケンタッキーダービーでは不利な3番枠からの出走で競馬をしていないクリエイターの馬主(ウインスターファーム)がペースメーカーとして出してきたゲティズバーグが6番枠を引いて、タイトなペースが予想される。クリエイターを抜擢したのは、4月のアーカンソーダービーの追込みがあまりに鮮やかだったから。単勝10倍以上なら賭けてみる価値がある。

 好位置につけて確実に伸びるエグザジャレイターの安定性は評価できるが、最後に足を伸ばしてくるスタミナタイプの馬たちにも注目したい。クリエイターと同様にケンタッキーダービーを不利な内枠で負けたサドンブレイキングニュース、同じく外枠発走で7着したブロディーズコーズ(父ジャイアンツコーズウェー、21倍)、これにラニを加えた4頭に逆転の可能性ありと見ている。

ベルモントS
◎クリエイター
〇エグザジャレイター
▲サドンブレイキングニュース
☆ブロディーズコーズ
△ラニ
△ストラディヴァリ
△デスティン
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント