武豊ラニ好枠、下馬評覆す可能性出た 2016ケンタッキーダービー展望

JRA-VAN

ジンクスと外枠不利の変化

武豊ラニが現地時間7日(日本時間8日早朝)に米国ケンタッキーダービーに挑む 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 迎えて142回目のケンタッキーダービーが7日(日本時間8日早朝)、ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で行われる。フルゲート20頭はダービーポイントが付与された指定重賞レースのポイント順で決まり、日本のラニはUAEダービー優勝で100ポイントを獲得して出走権を獲得した。

 ケンタッキーダービーのおもしろさは、ほとんどの馬が初めてのチャーチルダウンズで全馬初体験の10ハロンで覇を競うところにある。

 ケンタッキーダービーには
(1)1番人気は勝てない
(2)3歳になってデビューした馬は勝てない
(3)2歳フリーハンデにランキングされていない馬は勝てない
(4)2歳王者を決めるBCジュベナイル優勝馬は勝てない
 といったジンクスと14番より外枠の不利が囁かれていた。

 つまり、2歳デビューでそれなりのキャリアを持ち、人気の重圧を受けずに競馬が出来る外枠以外の馬に栄冠がもたらされるというものだった。

 しかし、21世紀に入ると、その傾向に変化が現れる。(1)はフサイチペガサス(2000年)によって破られ、(3)も2歳時に1戦のみのビッグブラウン(2008年)が優勝。(4)はストリートセンス(2007年)が難なく達成し、最近はアメリカンファラオ(15番)、アニマルキングダム(16番)、アイルハヴアナザー(19番)、それに大外20番枠を引いたビッグブラウンの優勝によって、実力のある馬に限っては外枠はかえって有利という識者もいる。唯一、3歳デビュー馬だけが勝てないレースである。

最大のライバルは7戦無敗ナイキスト

 今年は7戦不敗のナイキストが本命馬として大舞台に臨む。D.オニール厩舎で鞍上はM.グティエレス騎手。昨年のG1BCジュヴェナイルは直線入り口で先頭を奪って優勝。5戦5勝でその年の最優秀2歳牡馬に輝いた。父アンクルモーはここ3シーズン、最多種付け数を誇る全米一の人気種牡馬。父系はスピードが売り物のグレイソヴリン系で母の父が早熟傾向のあるフォレストリーであることから距離が延びるごとに不安説が囁かれるが、前走のG1フロリダダービー(9ハロン)では東の王者モヘイメンを4着に沈め、抜きん出た能力をアピールした。力で押し切るタイプだが、控える競馬も出来る。グティエレス騎手とオニール師はアイルハヴアナザーでケンタッキーダービーを制しており、本番で舞い上がるようなことはない。これまでのレースぶりを振り返ると10ハロンは守備範囲と見る。

 逆転候補を含んだ2番手グループは片手に余って横一線。ケンタッキーの前哨戦であるG1ブルーグラスSに勝ったブロディーズコーズは、スタミナを感じさせるしぶとい競馬ぶりから距離延長が好材料。ライバルの13番枠に対して19番枠で逆転までは難しそうだが、2着候補の筆頭だろう。

 T.プレッチャー厩舎はG1ウッドメモリアルSなど4戦3勝のアウトワークで挑む。父はナイキストと同じアンクルモー。母の父がエンパイアメーカーで底力を感じさせる。15番枠は昨年の優勝馬アメリカンファラオと同じラッキー枠である。プレッチャー師は裏街道のG2タンパベイダービーから本番に鉾先を向けたデスティンとの2頭出し。こちらの鞍上には全米リーディングのカステリャーノが配されて穴気配が漂ってきた。

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