元横綱・曙が新団体「王道」を旗揚げ「分かりやすい、激しい試合ができた」

高木裕美

新団体「王道」を旗揚げした曙。故ジャイアント馬場さんの妻・元子夫人も激励 【横田修平】

 元大相撲第64代横綱・曙による新団体「王道」の旗揚げ戦「王道 THE BEGINNING」が20日、東京・後楽園ホールにて開催された。
 試合開始前には曙と所属選手の太陽ケアがリング上からあいさつ。曙は「今日は楽しく、激しく、分かりやすいプロレスを目指して頑張りたいと思います」と王道の目指すテーマを掲げると、故ジャイアント馬場さんの妻であった馬場元子夫人から、2人に記念のレイが贈られた。

ヨコヅナファイナルインパクで白星スタート

関本&岡林の合体ブレーンバスターでぶん投げられるピンチも 【横田修平】

 曙はメインイベントでケア、浜亮太と組んで、田中将斗&関本大介&岡林裕二組という、日本プロレス界を代表するハードヒッター3人を迎え撃った。
 ようやく迎えた旗揚げ戦だが、実は3.21DDT両国国技館大会出場後、肺炎で約2週間の入院を強いられ、4月上旬に退院したばかり。1月下旬にも右下腿蜂窩織炎と右足底皮膚潰瘍で約3週間入院しており、体調的には万全とはいえない状況だった。

田中将斗をヨコヅナファイナルインパクトで粉砕 【横田修平】

 それでも、浜とおそろいのSMOPのコスチュームで登場すると、自ら先発を志願し、岡林とタックル合戦を展開。12分過ぎには、田中組の連係串刺しラリアットから関本&岡林の合体ブレーンバスターで投げられ、関本のダイビングボディープレス、岡林のゴーレムスプラッシュ、田中のスーパーフライによる波状攻撃のエジキに。
 だが、この怒とうの攻撃を驚異のカウント1ではね返すと、田中のスライディングDを食らいながらも、2発目をキャッチしてチョークスラムで切り返し、浜のスティンクフェース、ケアのハワイアンスマッシャーから曙がボディープレス、ヨコヅナファイナルインパクトとたたみかけてフィニッシュ。新たな門出に自ら華を添えた。

ミル・マスカラス参戦 邪道もエール 

【横田修平】

「オレらが目指していた、お客さんに分かりやすい、激しい試合ができた」という曙は、「これからも日本全国、この王道で行って暴れてきたい」と、5.15山口大会と8.8弘前大会の開催を発表。青森のねぶた祭り期間中に開催される弘前大会にはミル・マスカラスの参戦も決定しており、「非日常の大きい人たちがぶつかり合う醍醐味をぜひ味わってほしい」と多くの人々の来場を呼びかけた。
 また、“邪道”大仁田厚からも、「いつか王道マットで電流爆破マッチを行おう」というメッセージが寄せられると、「お祝いとして受け取ります」と苦笑いで聞き流した。

カシンがGF対FMWの開戦を宣言

“邪道”大仁田厚の使者・白覆面が乱入で試合は大混乱 【横田修平】

 はぐれIGF軍団のケンドー・カシンA&黒覆面A組の元に、“邪道”大仁田厚の使者・白覆面が乱入。FMW対IGFの開戦が決定的となった。
 カシンは熊本で被災した将軍岡本Bの代役となる黒覆面Aとタッグを組み、井上雅央&NOSAWA論外組と対戦予定であったが、カシンは「1人でやる」と主張し、そのまま2対1で試合スタート。井上の顔面を踏みつけ、鼻フックを仕掛けると、場外乱闘に持ち込もうとしたNOSAWAの顔面を逆に鉄製看板に打ちつける。
 2人がかりのストンピングを食らってもアッパーで反撃するが、そこにFMWのTシャツを着た白覆面男が乱入。大仁田からの親書を手渡すと、カシンは「分かった」と認めるが、直後に白覆面男、さらにはパンディータまでもが襲撃に加わり、3対1の状況に。

大仁田の挑戦状にカシンはIGF対FMWの対抗戦を決意 【横田修平】

 だが、このピンチに会場から『ブルーアイド・ソウル』が流れ出し、ようやく黒覆面Aが登場。黒覆面Aは4対1の状況の中、白覆面のマスクをはがし、その正体が保坂秀樹であることをさらすと、NOSAWAを人間風車で仕留めた。

 5.14新木場大会への参戦の可否を4.27後楽園大会で返答するよう求める大仁田からの親書を確認したカシンは「FMWとの全面戦争、やるしかないな」と覚悟を決めると、「IGFは大仁田の挑戦状を必ず受けてくれるはず。澤田敦士、鈴川真一の2人がやってくれる」と、さっそく他の選手に丸投げした。

元「王道」コンビが打倒VM誓う

【横田修平】

 セミファイナルでは、「王道」という名にゆかりの深い宮本和志&相島勇人組が、ブードゥーマーダーズ(VM)のTARU&菅原拓也組と対戦。VMセコンドの拳剛の乱入もあり試合には敗れるも、被災地の復興を祈って打倒VMを誓った。
 宮本と相島はかつて、「王道プロレスを目指す」というテーマの元、06年1月に旗揚げされた団体「キングスロード」に所属。エースであった宮本は「3年後の日本武道館を目指す」と目標を掲げながらも、わずか半年で活動停止となった苦い経験がある。
 この日はVMの奇襲攻撃を受けながらも、宮本がTARUにマシンガンチョップ、串刺しラリアット、ダブルのラリアットを決めると、乱入してきた拳剛を抱え上げて2人めがけて投げつけ、相島と共にパワースラムの競演を見せる。だが、TARUは相島をレフェリーにぶつけて失神させると、すかさず拳剛が鉄パイプで宮本を捕獲。孤立した相島にTARUと菅原が2人がかりで攻撃を浴びせ、パイプイスで脳天を打ち抜いてトドメをさした。
 福島県出身の宮本は、福岡県出身の九州男児である相島と共に「大事な旗揚げ戦、こんな勝ち方して嬉しいかよ」とVMに噛み付くと、「被災地のためにもっと元気出して、あんな奴らぶっつぶしてやるよ」とリベンジを誓った。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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