本職の中継ぎ・秋吉が侍で果たす役割 WBCへ注目集まる権藤コーチの判断
最高の侍ジャパンデビュー
侍ジャパン初招集で好投を見せた秋吉。今回のアピールでWBCメンバーの候補にも 【写真は共同】
この試合、光ったのは投手陣。先発の菅野智之から大野雄大、小川泰弘、秋吉亮、増井浩俊と5投手の継投で、許した安打はわずか2本。前日の会見で日本投手のレベルの高さを認めながらも、「バッティングには自信がある」とチャイニーズ・タイペイの洪一中監督は口にしたが、その打線を完璧に手玉に取った。
なかでも圧巻だったのが秋吉のピッチング。8回に登板すると3者三振に切って取る。「あんなにストレートが速いんだなと思った」と小久保裕紀監督をうならせる内容で、最高の侍ジャパンデビューを果たした。
思い起こせば4カ月前、昨年11月に行われた「世界野球プレミア12」で初代王者を狙った侍ジャパンは3位に終わった。痛恨だったのは準決勝の韓国戦。前半に3点をリードしながらも9回に4点を失いまさかの逆転負けを喫する。大会前から中継ぎ専門投手の不在が不安視されてはいたが、継投ミスも重なり、その不安が的中した一戦となった。
首脳陣が秋吉に寄せる期待
プロ3年目の秋吉は右のサイドスローからの140キロ台後半のストレート、スライダー、チェンジアップ、シンカーが武器。昨季は74試合に登板し、ヤクルト鉄壁のリリーフ陣の一人としてセ・リーグ制覇に大きく貢献した。左腕の戸根は昨年、ルーキーながら層の厚い巨人投手陣のなかで中継ぎの一角として46試合に登板。森はルーキーイヤーの14年に58試合、15年も55試合に投げてソフトバンクの連覇に欠かせない存在となった。
なかでも今回の中継ぎ陣で象徴的なのが秋吉の存在だろう。戸根が2月21日に、森は大瀬良大地が負傷で辞退したのを受けて23日に追加でメンバーに加わったのに対し、秋吉はそれに先立つ15日の26選手発表時点からメンバー入りを果たした。このことからも首脳陣の評価の高さがうかがえる。