本職の中継ぎ・秋吉が侍で果たす役割 WBCへ注目集まる権藤コーチの判断
「走者をかえさない」中継ぎの矜持
おなじみの頬杖をつくポーズで試合を見守った権藤コーチ(左)。侍ジャパンの課題である中継ぎをどう整備するのか? 名投手コーチの手腕が問われる 【Getty Images】
期待に応えた秋吉は試合直後、開口一番「すごい緊張した」と本音を吐く。それでも、「一人抑えてすごい楽になった。初球、ストライクが入ったので安心した」と安堵の表情を浮かべると、「あとはいつも通りに追い込んでからボールになる球で三振が取れたので、自分のピッチングができている」と振り返った。
さらに、この試合では8回の頭からの登板だったが、自身の起用法については「ランナーがいる場面で登板するのはシーズン中もあったので慣れているし、(回の)頭から行くことも中継ぎとして想定しておかないといけない。その辺は試合の流れ次第だと思うので、どういう状況でもランナーをかえさずに帰ってくるという気持ちで投げたい」と中継ぎとしての矜持を口にした。
第4回WBCの有力候補に
来年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて先発陣の頭数はそろっている。この日投げた菅野、大野、小川、プレミア12で活躍した大谷翔平(日本ハム)だけでなく、けが明けの影響で今回は選出されていない藤浪晋太郎(阪神)も万全ならメンバー入りするはずだ。さらにMLBでプレーする、前田健太(ドジャース)、田中将大(ヤンキース)、今季トミー・ジョン手術から復帰するダルビッシュ有(レンジャーズ)らがいる。
しかしいくら先発陣が安定していても、球数制限のあるWBCは一人で投げ切ることができない。先発投手2人で序盤の試合をつくっても、プレミア12の韓国戦のように終盤でピンチを背負う場面も出てくるはずだ。WBCを来年に控える今シーズン、権藤コーチが誰を中継ぎとして判断するのか、その動向に注目が集まりそうだ。そして侍ジャパンの16年初戦で最高の結果を残した秋吉も、WBCへの有力候補となったことは間違いないだろう。
(取材・文:山岸耕太/スポーツナビ)