歴史的な一歩目を刻んだサンウルブズ 「エディージャパン」と違う戦術で勝負
対戦相手は南ア国内リーグ優勝の強豪
初戦に敗れたサンウルブズ。しかし、手応えをつかんだ一戦でもあった 【斉藤健仁】
今年から南半球のニュージーランド(NZ)、オーストラリア、南アフリカの強豪3カ国で行われていたリーグ戦、スーパーラグビーが15チームから18チームに拡大し、日本チームである“日出る国のオオカミ”サンウルブズも新たに参入し、ライオンズ(南アフリカ)との開幕戦をホームで迎えた。
「スーパーラグビーがここ(秩父宮ラグビー場)で開催されるなんて夢のようでした」とHO堀江翔太主将が振り返ったように、選手だけでなく、満員となる約2万人の大観衆がインターナショナルラグビーを堪能した。そして「(スーパーラグビーで)戦える手応えをつかんだ」、「自信になった」と選手たちが次々と口にしたように13対26で敗戦したが、サンウルブズが戦える力を証明したと一戦となった。
相手のライオンズは、2015年のワールドカップメンバーこそいないが、南アフリカ代表キャップを持つ選手も4人(ノンキャップの代表経験者も2人)おり、昨年のスーパーラグビーは南アフリカカンファレンスで2位、全体8位の強豪。しかもライオンズの基盤となるチームは国内リーグ(カリーカップ)で12戦全勝優勝を果たしており、さらにヨハン・アッカルマンHC(ヘッドコーチ)もチームを率いて4年目と成熟したチームだった。
急造チームは「カンタベリー流」で挑戦
後半18分にチーム初トライを決めるなど、チームを引っ張った堀江主将 【斉藤健仁】
実は、それはある程度、予想できていた。ハメットHCは、かつてスーパーラグビーのクルセイダーズで5回優勝を経験しているロビー・ディーンズ監督(現・パナソニック監督)の下でコーチを務め、クルセイダーズのベースとなるITMカップのカンタベリーでもプレーをしていた。さらにアタックコーチを務めるのが、カンタベリーで高校から24歳までラグビーを続けていた田邉淳コーチ(パナソニック)で、また堀江主将も大学卒業後はカンタベリー・アカデミーで鍛錬を積んだ。
つまり、サンウルブズのラグビーは「カンタベリー流」と言えよう。エディー・ジャパンが始動したときは、サントリーの選手が中心となって他のチームの選手に戦術を教えていたが、サンウルブズではパナソニックの選手が根幹をなしている。そのため試合にはHO堀江を筆頭に、PR稲垣啓太、WTB山田章仁、笹倉康誉と4人が先発したのもうなずける。
SH日和佐「短い準備期間でこれだけできるという自信に」
SH日和佐は長短のパスを使い分けて、スペースを突いた 【斉藤健仁】
FWで前に出ながらも、ボールをワイドに動かす。そしてハーフ団が、相手のスペースや隙を突き、トライを狙う。まさしく後半18分のトライは、サンウルブズの形で取ったトライだった。攻撃のタクトを握るSH日和佐篤は「選手がいろんなチームから来ているし、いろんな考え方を吸収している。順目だけでなく、折り返しがあったりキックを蹴ったりとどのオプションで行くか(といろいろ選択肢がある)。短い準備期間でこれだけできるという自信になった」と手応えを口にした。