北嶋、工藤が価値を高めたエースナンバー 柏の背番号にまつわるストーリー

鈴木潤
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9番を特別な番号にした北嶋秀朗

“エースの称号”である柏の背番号9。今季はスポルティング・リスボンから復帰した田中順也が背負う 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 2月7日、田中順也がポルトガルのスポルティング・リスボンから柏への復帰を果たした。以前の在籍時につけていた18は、現在エデルソンの番号であるため、今回の復帰に際し田中は背番号9を選択した。

「自分でプレッシャーをかけるつもりで9を選びました。『自分がゴールを決めるんだぞ』と。レイソルで9番は大切な番号なので、そういうのを背負わなければいけない年齢(28歳)だと思っています」

 柏の背番号9――。すなわちそれは“エースの称号”である。

 Jリーグの背番号が固定制になった1997年以降、背番号9はジャメーリ、ドゥッダ、そして99年から北嶋秀朗が背負うことになる。ただ、当初はまだ“エースナンバー”という位置付けではなかった。

 06年、クラブ史上初めてJ2に落ちた柏を「救いたい」との思いから、北嶋は清水エスパルスから電撃的に復帰を果たした。復帰初年度は25を背負ったが、07年から北嶋は再び背番号9をつけた。

 復帰以降、北嶋は絶大なる存在感を発揮していく。熱く頼もしい言葉でチームを鼓舞し、メンタル的に沈んでいる選手がいればよき相談相手として力になった。北嶋は、いつしか“柏の精神的支柱”と呼ばれるようになっていく。

 彼自身も膝の故障に悩まされ続けてきたにもかかわらず、幾度の困難を乗り越えてピッチに帰ってくる不屈の闘志を見せた。出場機会に恵まれなかったとしても、誰よりも練習を積むことでチャンスを手繰り寄せ、出場機会をつかみ取る。そんな北嶋の姿に皆が引っ張られていった。

 11年には、重要な局面で数々のゴールを決め、柏のJ1初優勝に大きく貢献した。北嶋が見せたピッチ内外での圧倒的な存在感によって、背番号9は特別な番号と化していく。
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著者プロフィール

1972年生まれ、千葉県出身。会社員を経て02年にフリーランスへ転身。03年から柏レイソルの取材を始め、現在はクラブ公式の刊行物を執筆する傍ら、各サッカー媒体にも寄稿中。また、14年から自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信している。

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