「サンデー」の名を継承した大嶺祐太 進化の背景に、コーチからの“一言”

千葉ロッテマリーンズ

「サンデー」の継承者

「サンデー祐太」として、ここまですべて日曜日に登板しキャリアハイを更新する勝ち星を挙げている大嶺祐 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「サンデー祐太」という呼び名も、すっかり板についてきた。プロ9年目を迎えた千葉ロッテの右腕・大嶺祐太。今季は8月末までに19試合に登板。それがすべて日曜日であることから、かつて村田兆治や小野晋吾が呼ばれた「サンデー」の名を継承している。

 そのことについて、大嶺祐は恐縮しながら言った。

「歴代の『サンデー』と呼ばれた先輩はすごい方たち。光栄に思います。(日曜日の)お客さんがたくさん入っているなかで投げられるのは、すごくうれしいこと。ファンの方々の声援は、すごく力になります」

 日曜日の登板から、中6日のルーティンがある。例えば、次の登板が本拠地で予定されている場合、大嶺祐は1週間をこんなふうに過ごしている。

月曜日:先発投手だけで軽めの練習
火曜日:オフ
水曜日:長い距離のランニングやウエイトトレーニング
木曜日:水曜より短めの距離のランニングやウエイトトレーニング
金曜日:投球練習(40球前後)と30〜50mのダッシュ
土曜日:10〜30mのダッシュ

 落合英二投手コーチは、大嶺祐の6日間の過ごし方を評価している。

「試合に臨むまでの準備がしっかりできるようになってきましたね。6日間の過ごし方が良くなってきました。たとえ試合で打たれたとしても、その後の6日間でしっかり考えながら練習しています」

落合コーチが大嶺祐に送ったアドバイス

 昨年までの8年間で、大嶺祐は61試合に登板(うち54試合が先発)。17勝21敗で、防御率は5.18という成績だった。それが、今季は19試合に登板(うち18試合が先発)して7勝6敗、防御率3.11をマーク。1シーズンの登板数も勝ち星も、8月末の時点ですでにキャリアハイを更新している。

「自分の勝ち星よりも、試合をつくることを優先しています。その結果、勝ち星がついてきていると思います」と大嶺祐。この「試合をつくる」が、キーワードだ。

 きっかけは、落合投手コーチの一言だった。今季、大嶺祐は中継ぎとしてスタートした。ところが、先発要員として期待されていた唐川侑己、藤岡貴裕が本来の投球ができず、先発投手がコマ不足となったことで先発の機会が回ってきた。今季初先発は、4月26日の東北楽天戦。その登板前に、落合コーチが大嶺祐にアドバイスをした。

「先発として、試合をつくってくれればいい」

 落合コーチは、この背景を明かす。

「大嶺祐は、短いイニングでの集中力があった。それで、中継ぎの方が適性があるとみて、本人にも『中継ぎで』と言っていたんです。それが、先発投手が足りなくなって、無理して先発に回ってもらうことになった。そういう意味もあって、『試合をつくってくれればいい』と言いました。まあ、それは先発投手の宿命のようなものなので、他の投手にも言えることですけどね」

 これを境に、投球が変化していく。大嶺祐は言う。

「落合コーチの言葉は、自分の中で大きかったですね。それまでは、ピンチになると『どうしても抑えたい』と思って投げていました。それが、今年は『1点くらいは大丈夫だ』という気持ちになれています。うまく開き直ることができていますね」

 これまでは「抑えたい」という思いが強く、コーナーギリギリを狙って投げていた。それが外れて、ボール先行のカウントになる。そこでストライクを取りにいくと、甘く入って打たれる……という悪循環だった。だが、今季はストライク先行で打たせて取る投球ができている。1試合あたりに与える四球の数も減少した。今季トータルでは3.45個で、オールスター後の6試合に限ると2.11個。四球で無駄な走者を出さないことも、安定した投球につながっている。
 
「無駄な四球を少なくしたい。今は、早いカウントからキャッチャーが構えてくれるところを狙って、多少アバウトになってもいいから、とにかく強い球を投げることを意識しています。ストライクを取るには、見逃しだけではなく、空振りもあれば、ファウルもある。カウントを稼ぐ前に、打者が打ち損じてフライや内野ゴロになれば、なおよし、ですね」。

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