「サンデー」の名を継承した大嶺祐太 進化の背景に、コーチからの“一言”

千葉ロッテマリーンズ

成長を支える技術面

5月20日、弟・翔太(左)とそろってお立ち台に上がった大嶺祐(中央) 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 そう話す大嶺祐の表情には、ピッチングと同様、力みがなかった。こうした考え方を、技術の成長が支えている。落合コーチは、こう証言する。

「大嶺祐は、ストライクを取るフォークと勝負球に使うフォークの2種類を投げ分けることができる。そのフォークの精度が良くなって、カウントが稼げるようになりましたね」

 大嶺祐も、その点に手応えを感じているようだ。

「フォークと、カーブやスライダーも含めて、変化球でストライクが取れるようになったのは、昨年までと違う点だと思っています。変化球でストライクが取れないと、どうしても直球一本になってしまう。打者が直球を打ちにきているときにフォークを投げれば、ゴロアウトが取りやすいし、それほど痛い目に遭うこともないですから」

 今年2月のキャンプから、毎日の体幹トレーニングと、週に2回のウエイトトレーニングを続けている。その成果でフォームがブレなくなったことも技術面の成長の土台となっている。

充実した気力と技術

 8月30日の日曜日にQVCマリンフィールドで行われたオリックス戦。大嶺祐は今季18試合目の先発マウンドへ上がると、5回0/3を投げ2失点。6回に先頭から2者連続で四球を出して降板したものの、その後はリリーフ陣が継投して5対4で逃げ切り、今季7勝目を手にした。

 初回の1死一、二塁のピンチでは、オリックスの4番・中島裕之を初球のカーブで三ゴロ併殺に打ち取り、ピンチを脱出。3回にも2死満塁として打席に中島を迎えたが、フォークで遊ゴロに仕留めるなど、走者を背負いながらも変化球で打たせて取り、粘りの投球を見せた。5回に2失点したが、それは記録には表れないミスや打ち取った当たりが安打になる不運が絡んだものだった。

 だが、試合後、大嶺祐は7勝目を挙げたことを喜ぶのではなく、6回に四球で2人の走者を出して降板したことを悔やんだ。

「四球を2つ出して交代したのは、先発投手としてやってはいけないこと。ブルペン陣、チームに申し訳ないです。そこは反省して、明日から気持ちを切り替えてやっていきたい」

 試合後のこの瞬間から、次の登板に向けての準備が始まっている。

 8月31日の時点で、千葉ロッテは4位。3位の埼玉西武とはゲーム差なしでCS圏内入りを争っている状況だ。残りの30試合に向け、大嶺祐は力強く語った。

「チームはCSへ向けていい位置にいます。少しでも貢献できるように、1試合でも多く試合をつくって、次の投手にバトンを渡すなり、自分で投げ切るなりできればいいと思っています。ここからの時期が一番キツイと思いますが、最後までいきたいですね」

 その表情からは、気力も技術も体力も充実していることがうかがえた。そして、「サンデー祐太」がまた日曜日のマウンドで躍動する姿が目に浮かんだ。

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