直前合宿の成果を見せたバレーW杯序盤戦 サーブとディフェンスの強化が実を結ぶ
5連敗のワールドGPから立て直す
前半戦の大一番と目していた23日のロシア戦はフルセットで敗れたものの、アルゼンチン、ケニア、キューバには快勝し、5戦目のドミニカ共和国戦はセットカウント1−2からの逆転勝利。思い通りの攻撃ができず、自身は途中でベンチに下がったが、木村沙織の表情は晴れやかだった。
「全員がコートに立って活躍できているのは良かったと思うし、チーム力で勝つことができてよかったです」
大黒柱のベタニア・デラクルスを欠くドミニカ共和国には、勝ち点を考えれば3−0か3−1で勝利したかったのが戦前の本音でもある。だが、それでもワールドカップ(W杯)に臨むにあたり、最大の目標は2位以内に入って来夏のリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得すること。積極的なメンバー交代が功を奏した末の辛勝に、眞鍋政義監督も「ホッとしています」と胸をなでおろした。
W杯直前の7月、米国オマハで開催されたワールドグランプリ(GP)決勝ラウンドは5戦5敗。米国、ブラジル、中国、ロシアにはストレートで敗れ、大会後には多くの選手たちが「内容が悪すぎた」と不安を抱いていた。
直前合宿でディフェンスを強化
W杯の開幕5日前の記者会見で、キャプテンの木村はこう言った。
「体も心も、自分もチームも、ものすごく追い込んでいます。やることは全部やっておきたいし、良い準備をしてW杯に臨みたいです」
木村の言う「良い準備」。それはW杯の大会2日目に迎えるロシア戦をイメージされたものだった。打点の高さを存分に生かして放たれる相手のスパイクにどう対処するか。そのためのポイントがディフェンスだった。
ロシア選手に見立てた男性スタッフの強打をノーブロックの状態で拾うレシーブ練習に加え、どこまでブロッカーが抑え、レシーバーはどの位置に入って拾うのか。相手の攻撃データをもとに、そのポイントを今まで以上に明確にし、ブロックとレシーブの連携強化に努めた。さらにリベロもワールドGP後、座安琴希が相手からサーブを打たれるレセプション時にコートに入り、自チームがサーブ時にはディグ(スパイクレシーブ)が得意な佐藤澪が入る「2人で1つ」の新たな布陣を取り入れ、ディフェンス力の強化に努めてきた。
多くの選手が「男性コーチのボールに目と体が慣れていたせいか、ロシアのスパイクとはいえボールが遅く感じられた」と口をそろえたように、5試合を終えた時点で全出場国の中で日本はディグの成功率で1位につけるなど、成果は着実に表れていた。