新潟2歳Sで今年もクラシック候補誕生? TM座談会で、関係者の本音をチェック
競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会
究極の瞬発力勝負でロードクエスト 新潟2歳ステークス
ハイレベルなメンバー相手に圧勝したロードクエストが最有力(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
武井「新馬戦が6月の東京からスタートするようになって、よりレベルが高まってきたと言えますが、特に東京の芝1600mの新馬戦は、そのイスラボニータや昨年のブライトエンブレムなど、出世馬の宝庫なんですよ。それもあってロードクエストを信頼しますが、その3回東京での新馬戦がスタートした2012年から昨年まで、8鞍あったマイルの新馬戦の最速タイムを、この馬は2秒近くも更新したんです。ペースや馬場の差で一概に比較はできないとはいえ、相当なレベルと見ていいんじゃないでしょうか」
庄司「しかも、出遅れて直線だけでブッコ抜き、ラスト100mは完全に流してあの時計ですからね。レース間隔が空いた割に速い時計が出ていないという指摘もありますが、6本も併せ馬を消化していますし、初戦でさほど人気にならなかったように調教で速い時計の出るタイプではないので、問題ないですよ」
守屋「その初戦の2着馬は、その後も連続2着と好走していますし、3・4・5着馬も既に勝ち上がっているハイレベルだったんですよね。東京マイルの新馬を勝って続く重賞も、というパターンでは、同じ田辺騎手&小島茂厩舎で札幌2歳ステークスを勝ったブライトエンブレムとイメージがダブりますよ」
坂倉「初戦は、着差や時計といった数字以上の強さを感じましたよね。小島茂師いわく『今回もテンに行けないと思います。馬がゲートを出るということに興味がないようなので(笑)』とのことですが、道中は折り合いに専念しての直線勝負で、新潟外回りなら楽に届くはずですよ」
小島「陣営は、ブライトエンブレム同様に札幌2歳S出走のプランもあったようですが、ゲートの不安に加え、この馬の持ち味を生かすには直線が長くて軽い芝の新潟がベストとの判断。気の荒さも大物の相かもしれませんし、とにかく陣営は自信満々でしたね」
久光「ただ、ロードクエストは“二番”が利かない傾向もあるマツリダゴッホ産駒、という点が気懸かりですね。速い時計が出ない調教に関しても、気性的に攻め切れないところがあると思いますし、強かった初戦の走りができるかは、正直、半信半疑のところがありますよ」
デスク「その久光の◎ヒプノティストも、1800m戦とはいえ東京での新馬勝ち組で、これまた凄い末脚を見せたんだよな」
久光「初戦はパドックからひどくイレ込んでいたんですが、終わってみれば完勝でしたからね。気性を考えると距離短縮は歓迎でしょうし、中間の調教もさらに凄みを増していて文句の付けようがないデキです。有力馬に騎手が乗り替わる例が多い中で、初戦と同じ柴田善騎手というのも心強いですよ」
田村「とにかく善臣騎手は能力を絶賛しているし、先週の調教で跨いだ時も“いいアクションで、落ち着きもある”と好感触をアピールしていたからな。昨年勝った“ミュゼスルタンと同じような雰囲気”だってさ」
小野智「前走でタニセンビクトリーに乗って勝った蛯名騎手が、かなりの高い評価をしていたんですが、それを初戦で楽々と負かしているんですから、私もヒプノティストを信頼したいですね」
守屋「初戦について奥村武師に伺うと『直線入り口で前をカットされてヒヤッとしたけど、それでも怯まずによく伸びた。折り合いなど色々な課題をクリアできたし、それらも含めていい勝ち方だった』と。このメンバー相手でどうか、とも聞いてみたんですが『ここでどうこう言ってたら、もっと上の舞台で戦えないですから』と、かなり自信のある答えが返ってきました。僕自身は重い印を打ち切れなかったんですが、師の言葉はけっしてビッグマウスではない気もしますね」
デスク「いずれにしろ、新潟外回りのマイル戦で瞬発力を重視すれば、この2頭ということなのかな」
清野「過去10年の連対馬20頭中、差し・追込が19頭を占めているように、そういう瞬発力が生きる展開にもなりやすいわけですが、だからと言って前走で先行して勝った馬がダメなわけではないはずですよ。中でもウインミレーユは、実際にこの新潟マイルで、ほとんどムチを使わずにメンバー最速の上がりで4馬身差と、相当な脚を見せています。小柄な牝馬ですが、中2週でも坂路で2本しっかりと追われていて、体調もすこぶる良さそうですね」
佐藤直「上がり3ハロン33秒6の数字自体も優秀なんだけど、中でもラスト2ハロンで凄いキレ味を見せたからな。ある程度のポジションで運んだ上で脚を溜められる自在性は魅力だよ」
加茂「初戦は、あれでも正直1、2本足りない仕上げ。『この中間もバリバリ食べているし、稽古もビシビシやれている。小柄な牝馬にしては本当に珍しいタイプで、反動どころか大きな上積みがありそう』と、陣営も状態の良さに太鼓判を捺しとるし、競馬が上手な馬やから、重賞でも見苦しいレースにはならんやろ」
若駒の戦いに 人気ほどの力差なし
大江原「一戦ごとの充実ぶりは確かに目立っているよな。道中で脚を溜める競馬ができたのなら、直線の長い新潟コースもマイナスにはならないだろうし、速い時計の決着にも対応できるはずだぞ」
田村「札幌へ行っている蛯名騎手から手綱が戻ってきた江田照騎手だけど、やっぱり高い評価を与えているんだよな」
小島「担当厩舎のロードクエストが見せた末脚も凄かったですけど、それ以上にインパクトがあったのがマコトルーメンの初戦ですよね。前走の函館2歳Sだって、普通なら後方のままで終わりそうなところを、上がり最速で5着まで来た末脚は本物です。血統的に距離延長は問題ないですし、軽い走りをする馬ですから、間違いなく新潟の方がいいはずです」
久光「函館からの転戦組が今イチというデータはありますが、確かにこの馬に関しては新潟外回りがピッタリですよね」
佐藤直「調教でも抜群の動きを見せているから、俺も穴ならこの馬だと思っているぞ」
田村「前走については、水野師も“距離不足はわかっていたが、どこまでやれるか力試しの一戦”だったんだ。鞍上も“走りが軽いので新潟向き”ということだったし、ここは色気があって当然だよな」
大江原「俺はルグランフリソンにもっと重い印が並んでいいと思うんだがな。同じ舞台での新馬勝ちは、粗削りな面も見せながら早目スパートで押し切る強い内容だったし、まだ上昇の余地が見込める素材だぞ。中3週というのも一番調整しやすいローテーションだしな」
福田「若さを見せた初戦については『初めてだから仕方ないし、一度実戦を経験したならもう大丈夫』と、中竹師も心配はしてない様子やで。中間の調教でも『しっかりと負荷をかけることができたし、バランスの良いフットワーク』なら上積みが見込めるし、何よりキーンランドのセールで師自らが惚れ込んだ馬。ノースヒルズ軍団にも勢いがあるさかい、師も力が入っとるで」
細川「同じ栗東組からは、プリンシパルスターも強調しておきたいですね。使って仕上げていく厩舎らしく、まだ完全に良化途上での新馬勝ちで、素質だけで勝ったと言ってもいいくらいなんです。2戦目で相当な上積みが見込めますから、重賞でもチャンスはありますよ」
デスク「2歳戦といえば“マイネル軍団”。今年は“マイネル”の冠が付かない馬もいるんだが、そのペルソナリテは唯一の2戦2勝馬なのに、名前が挙がらないな」
小島「僕の担当厩舎で実際に◎も考えた馬ですが、400キロそこそこの馬体でも柴田大騎手が“大型馬に乗っているような重量感がある”と絶賛しているんですよ。厩舎スタッフが心配するほどカイバ食いも旺盛ですし、何より一番の長所は抜群の勝負根性。ホント、2戦2勝がバカにされているようですが、完成度の差で3連勝もありうると思いますよ」
デスク「あとは、チョットだけよ、の馬たちか」
上田「いやいや、チョットどころではなく、頭から狙えるのがカネノイロだよ。初戦の上がりが35秒0と、一見平凡だけど、これは前半のペースが速かったためで、他の上位馬よりも1秒以上速い上がりだったんだ。開催が進んだ上に、外回りコースに替わる今回は、その数字以上の末脚が更に生きるはずだよ」
西田「私もチョットだけいいですか? ダリア賞で人気を裏切ったファドですけど、アオリ気味のスタートで思わぬ位置取りになり、周りを気にしながらの走りだったんですよ。本来はスタートの速い馬で、陣営も“行けるなら逃げてもいい”と言ってます。けっして逃げ切りが不可能なコースではないですし、ゲート練習と馬具の工夫でスムーズに先手を取れれば、もしかしたら、もしかしますよ」
伊利「僕も超大穴狙いで◎はエポックとしました。このレースと相性の良いミスプロ×ヴァイスリージェントの配合。ダートでの勝ち上がりで軽く見られているようですが、2012年には後にダートで活躍するノウレッジとサウンドリアーナが馬券に絡んでいますし、父ヴァーミリアンはラジオたんぱ杯2歳ステークスも勝っているように芝ダート両刀使いだった馬。初戦の勝ち時計も優秀で、ここでも面白いと思います」