代表争い激化の男子走高跳に現れた新星=躍進見せる大学1年生・平松祐司
4人の標準記録突破者がそろう男子走り高跳び
世界陸上の参加標準記録突破者が4人と活気を帯びる男子走り高跳び陣。その中で筑波大1年・平松祐司の躍進が目覚しい 【スポーツナビ】
シーズン序盤、昨年好調だった戸邉がアキレスけん痛で出遅れているうちに、衛藤昴(AGF)が5月3日の静岡国際で2メートル28を跳んで、参加標準記録(2メートル28)を突破。さらに3度目の2メートル28を跳んで3位になった5月10日のゴールデングランプリ川崎では、高張広海(日立ICT)も2メートル28をクリア。出遅れていた戸邉も5月17日のダイアモンドリーグ上海大会で2メートル29を跳んで参加標準突破を果たした。
その前日となる16日、神奈川・日産スタジアムで行われた関東インカレでは、筑波大1年の平松祐司が、2メートル28をクリアし、その争いに割り込んだのだ。
「失敗跳躍」でも自己ベスト更新
今季に入りコンスタントに2メートル20を超えていた平松。そして関東インカレでは2メートル28を突破し、世界陸上代表争いに加わった 【スポーツナビ】
「関東インカレの2メートル25も自己新だったけど、その高さはいつ跳んでもおかしくないと思っていたので、喜びはあったけど驚きはなかったですね。28は自分の中で『思ったより早かったな』とは思ったけど、完全にハマッたいい跳躍だったので。でも25に関しては動画で見返したら失敗跳躍だったので、それでも跳べたというのは力がついている証拠だし、この冬の成果かなと思います」
今年の平松は2月から試合に出て、4試合目だった3月22日の山田隆記念大会(奈良)には2メートル21の自己新をマークしている。その後は5月10日のゴールデングランプリ川崎まで連続で2メートル20をクリア。「2メートル22の自己新ならいつでも跳べたと思います。でも、その高さを狙うよりも25を狙っていました。ただ3試合連続で失敗してしまい、ムズムズしていたんです」と笑う。
「高校時代は技術的なことはあまり練習していなかったので、今年からやっていこうと思っていました。衛藤さんと一緒に練習をしていた時にダブルクラッチ(※)を真似してやってみたら感触が良かったので取り入れて……。技術的に変えたのはそのくらいですね。それと1月と2月は合宿が多く、そこで技術的な練習ができたので、それが後に生きてきたのかなと思います」
※ダブルクラッチ=空中動作の技術。2段モーションのような動作でバーを跳ぶこと