捕まったら終わり、体力の限り逃走せよ! 世界と走る「Wings for Life World Run」

中尾義理

【Wings for Life World Run】

ゴールが追いかけてくる?

【中尾義理】

 恋や夢は追いかける方が楽しいが、追いかけられたいという人もいるだろう。日本で初開催されたランニングイベント「Wings for Life World Run」はまさにそれ。ゴールに向かって走るのではなく、ゴールに追いかけられながら走るスリルが楽しい――。

 5月3日(日本時間)に行われた大会は世界33カ国35会場で同時スタート。「世界と一緒に走ろう」と言われると、なんてステキ!と思うのだが、この大会、キャッチャーカーと呼ばれる追跡車に捕まると即終了、という厳しい掟がある。

左から弓場達也さん、池田州平さん、村川遼さん 【中尾義理】

 つまり、ランナーから30分遅れて追跡を開始するキャッチャーカーに捕まった地点がそれぞれのゴールになる。10キロの人もいれば、42.195キロの人もいるし、50キロを越える健脚もいる。人の能力が万別であるように、みんなのゴールも違っていいのだ。

 日本会場は田園風景の中の滋賀県高島市・今津総合運動公園。午後8時のスタートを待ちながら、夜の逃亡者になりきるランナーたち。小雨が降る天候だったが、ボルテージが下がることはない。

右・中松のぞみさん、左・谷真梨子さん 【中尾義理】

 1秒でも、1メートルでも長く走るには作戦も重要。大学生の池田州平さん、弓場達也さん、村川遼さんは高校の水泳部の同級生。ハーフマラソン1時間30分台の池田さんが「30キロは走りたい」と意気込むと、村川さんは「池田についていきます」。弓場さんは「周りがどんなに速くてもマイペース」と堅実なプランで走るようだ。
 ともにランニングレースは初めてという中松のぞみさんと谷真梨子さんは、「ゴールが追いかけてくるスタイルがおもしろいと思いました。最初の30分でできるだけ遠くに逃げます」と先行逃げ切り作戦を立てていた。

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著者プロフィール

愛媛県出身。地方紙記者を4年務めた後、フリー記者。中学から大学まで競技した陸上競技をはじめスポーツ、アウトドア、旅紀行をテーマに取材・執筆する。

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