「ヨガと出会って、生きやすくなった」 インストラクター・村上華子
【坂本清】
ストレス発散のために始めたヨガ
村上さんがヨガを始めたのは約10年前。きっかけはストレス発散のためだったという 【坂本清】
「当時、仕事と人間関係でストレスがあって、体調もあまりよくなかったんですね。ヨガに惹かれたのは、体にもよくて心にも効くっていう、プラスアルファの心の面にとても興味があったからです。実際にヨガを始めて、体の変化はすぐに感じました。気持ちがいい、調子がいい、というのがすぐにあって。当時は1週間に1回、レッスンに行くか行かないかという形で続けていました」
ヨガを始めて4年後、村上さんはそれまでの仕事を辞め、パワーヨガの第一人者である綿本彰氏のもとで指導者としてのトレーニングを積もうと決心する。
「当時は不規則な仕事をしていたんですけど、ヨガをやり出してから、もっと昼間起きていて夜ちゃんと寝て――という気持ちのいい生活をしたいなと思っていたところだったんです。だから、もう仕事を辞めちゃおう!と思って。
綿本先生に出会って、心と体のつながりについて教えてもらった時に、ああ確かに思い当たることがたくさんあるなあと思ったんです。もともと私は、割とネガティブに物事を考える人だったんです。心身症になったりもしました。体はここにあるのに気持ちはここになくて、体と心がバラバラ、チグハグになっちゃっていて、それがすごく居心地の悪い状態だったんです。
ヨガは呼吸やポーズをすることで、今ここに体があって、ここにいてっていう実体験があって、気持ちもそこに集中することで心を『今』っていう瞬間に置くんですね。肉体と心がちぐはぐしている時、ヨガはそれをピッタリ合わせてくれるんです。それが分かってからは、すごく生きやすくなりました。今はヨガのポーズや呼吸を通じて、自分をある程度コントロールできるようになりました。まさに、体の健康だけじゃなく、心の健康にも効くということですね」
今は生活すべてがヨガとともにある
2012年12月に第一子を出産し、現在は無理のない範囲でヨガを実践しているという 【坂本清】
「今は生活すべてがヨガとともにあるという感覚で、仕事という区切りはないですね。もちろん、レッスンをしている時はお仕事なんですけど、ヨガと一緒にどうやって生きていくかを常に考えているのかなと思います。
ヨガの哲学に『サントーシャ/知足(ちそく)』という言葉があります。仏教に近い考えで、『足りていることを知る』ということです。人の欲求は限りなくて、精神的にも物質的にも不自由ないはずなのに『もっともっと!』を追い求めることで、逆に振り回されてしまいますよね。だからこそ、外側の世界に幸せを求めるのではなく、自分の内側にある静けさや揺るぎなさを見つけることで、心の平穏が得られるんだと思います。『知足』が教えてくれることは、すべての出来事や存在を、あるがままに受け入れること。 今の私はヨガ的な物の考え方を通じて日々の物事を決定していて、ヨガの理念に近づきたいと思いながら生きているという感じです」
2012年12月には第一子を出産。体調や環境の変化に応じて、現在は無理のない範囲でヨガを実践しているという。
「出産して、体のつくり、筋肉や骨格が全く変わりました。最初は、体の融通が効かないくらいでしたね。実は、子供を産んでからは体を動かさない、ポーズをしないヨガの生活を実践しているんです。『カルマヨガ』という、行いのヨガ・奉仕のヨガと呼ばれるものです。カルマはサンスクリット語で『行動(アクション)』という意味で、目の前にある物事に対して損得勘定などの結果を考えず、見返りを求めずに、ただ行動するっていう考え方のヨガなんです 。育児って、まさにカルマヨガですよね。
育児をすると、自分の自由な時間もないですし、ヨガのポーズや練習をする時間もない、買い物もぱっとできるわけじゃない。その中で、どうやって楽しく毎日を送っていくかと考えた時に、赤ちゃんと調和する、家族と調和するというのが大切になってくる。どこの立ち位置に自分がいればいいかなというのを探る、心の調整みたいなものをやっている感じです」