「ヨガと出会って、生きやすくなった」 インストラクター・村上華子
続けるためには、無理をしないこと
「続けるためには、無理をしないこと」と語る村上さん 【坂本清】
「レッスンで1時間半くらいヨガのポーズをやって帰るときって、やはり来る前とは体の感覚も全然違いますし、生徒さんもああ気持ちよかったという顔をしています。実際に体を動かすってことは、心身にとても効果があるんです。初心者の人は特に。まずは効果を実感してもらいたいですね。
ただ、レッスンでの感覚をいつでも自力でできるかというと、最初はできないと思うんです。ですから、取っ掛かりとしては、ヨガのレッスンに週1回くらい通ってもらうのがいいと思います。筋肉の記憶って、だいたい1週間くらい続くと言われていますので。そして時間があれば、その合間に自宅でも練習してもらう。自分で自己調整できてきたと思えるようになるにはやはり、ある程度の体と心の理解が必要になると思います」
村上さん自身も仕事をしながらヨガを続け、インストラクターになった経験から、時間がない人には、細く長く続けていくことをアドバイスする。
「続けるためには、無理をしないことですね。細く長くでいいと思います。私自身、今はポーズの練習をしない日ももちろんあります。何でも頑張りすぎちゃうといやになってしまうじゃないですか。だから、好きなポーズが見つかったらそれを寝る前にひとつやるとか、仕事の休憩中に肩が凝ったなと思ったら、ヨガの肩をほぐすストレッチを取り入れてみるとか。日常生活の中で都合のいい使い方をしてもらえると、気軽に長く続けられるんじゃないかと思います」
待ち時間をうまく使うのもオススメだという。
「ヨガの基本は姿勢なんですね。ポーズも当然あるんですけど、一番簡単にできることは姿勢を正しておくことです。私が生徒さんにいつもオススメしているのは、信号待ちの時と、電車を待っている時、電車に乗っている時を、姿勢を直す時間にするんです。ちょっとお腹を締めて、背筋を伸ばして基本のヨガのポーズ、背骨を正すというのを思い出してやってみる。それだけでエネルギーの流れ方、気の流れが変わるんですね。あと、姿勢を正すと呼吸も入りやすいんです」
ヨガを通じて、楽しい幸せの輪が広がってほしい
笑顔の素敵な村上さん。夢は「ヨガを通じて、楽しい幸せの輪が広がること」 【坂本清】
「やってみてほしいのは、極端な人でしょうか。『本当はこんなはずじゃないのに』って自分で思っている人――つい怒っちゃったりとか、クヨクヨ悩んだりとか、食べ過ぎて体重がどんどん増えちゃったという人とか。そのような人も、それがもともとの性質ではないと思うんです。ただ、ストレスとか環境によって、自分の弱いところが過剰に出ちゃっているのかなと。そういう人ほど、ヨガの効果って感じやすいと思うんですよね。
“行きすぎている人”って、ちょっとでも体を動かして胸を開いてあげると、ふっと、『今日は違う』みたいな変化が分かるんですよね。かつての自分もそうでした。最初は体を動かして、ストレスを発散し、エネルギーを流してあげるだけで頭がすっきりするんです。ヨガのクラスで1時間ほど体を動かして、家に帰って寝る前に少しポーズを練習したり。それを継続してもらって、興味があれば哲学とかも学んでもらうといいと思います。ちょっとずつ、ヨガと触れ合う時間を増やしていく。徐々にでいいと思います」
村上さんはヨガを指導する際、心掛けていることがある。
「指導者になり、自分ができるようになると、分からなかったことを忘れちゃうんですね。レッスンに初めて来てくださる方の中には、初心者の方も半分くらいいらっしゃるので、初心を思い出すようにしています。そういえばここは自分も動かなかったなとか、ここは理解するまで時間がかかったなとか。
初心者に分かりやすく、経験者の人には難しいことをしてもらうのではなくて、より深めてもらう。先に進むというより、深めてもらいたいと思っています。いろんなレベルの方がいますので、基本的には初心者の方に合わせるようにしています。まずは来てもらって、『ああ、気持ちよかったな』とか、『リラックスしたな』とか、何かひとついいお土産があれば、まずはひとつクリアかなと思います」
最後に、村上さんの夢を聞いてみると、「幸せの輪」という答えが返ってきた。
「マタニティの生徒さんのお腹にいた赤ちゃんが出てきて、その赤ちゃんが成長した時に一緒にヨガをやりたいですね。生徒さんともお付き合いが続いて……。1人ひとりがより楽しく、幸せに暮らす気づきのきっかけを作る役目になれるといいなと思っています。そこから楽しい幸せの輪が広がっていってくれたらいいなと。最後に、ヨガがあるから人生が楽しかったって思ってもらえると、すごく嬉しいです」
※撮影協力:ベジタリアンカフェ・アインソフ
村上華子
ヨガインストラクター、ライター。2004年にヨガを始め、綿本彰氏のスクールで指導者としてのトレーニングを積む。仲間とともに設立したヨガスタジオ「HAS YOGA(ハスヨガ)」などで指導を行うほか、ヨガコラムの執筆など多方面で活躍。ヨガを通じ、人々の幸せの輪が広がることを願っている。2012年12月に第一子を出産後は、自身の経験を踏まえながらマタニティヨガの普及にも情熱を注ぐ