私のリフレッシュ法、オフの時間を有意義に=杉山愛コラム「愛’s EYE」

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動から静への転換が重要ですね

オフの時間をどう過ごすかが、ツアーを楽しむためには重要と語る杉山愛 【Getty Images】

 テニスプレーヤーにとって、リフレッシュや気分転換はすごく大切です。どれだけうまく気分転換できるかというのが、ツアーで楽しく、充実した時間を過ごせるかに直結すると言ってもいいと思います。練習やトレーニングに費やす時間は、1日のうち、せいぜい5時間。それ以外の時間をどう過ごすかが、ツアーの楽しさに結びつくのです。

 私自身、若くて体力があり余っていた頃は、ゴルフに行ったり、ショッピングや観光に行って時間を過ごしていました。米国だったら、朝早く練習してお昼からゴルフに行って9ホールだけコースを回るとか。ヨーロッパでは、ルーブル美術館やモンマルトルの丘へと観光に行きました。年齢がいくと、部屋の中でいかにリフレッシュするかと考えるようになりました。アロマをたいて、自分の好きな香りの中で、好きな音楽を聴きながら読書をするとか。動から静への転換ですね。

 ただ、ツアーを回り始めた頃は、うまく気分転換ができませんでした。17歳でプロになって、1年後、2年後くらいからWTAツアーに出るようになったのですが、上の大会に出ればどうしても負けが続きます。すると、気持ちの切り替えができなくて、3日間くらい引きずってしまうのです。練習にもフルエネルギーが注げなくて、なんとなくモヤモヤした状態が続くことがありました。

 でも、これではプラスが何もないんですよね。ツアー自体も楽しくなくなって、ホームシックにもなるし……。こんな状態から出るものはマイナスしかないな、と気がつきました。そして、その場その場を楽しく過ごすことが、ツアーを、また、自分の今のライフを楽しむことに結びつくんだなと。それで、遠征先でも観光をしたり、おいしいところを聞いてレストランに食べにいくようになったのです。そうしたら、気持ちの切り替えも上手になりました。

家を買ったので、「働くぞ!」

 最初の頃は、自分は仕事をしにきたと思っているから、観光しようとか、そういうところに気が回りませんでした。でも、遠征というのは、出張でそこに来ているというより、それ自体が自分のライフなんですよね。長いシーズンですから、どれだけ体と頭と気持ちがヘルシーに戦い切れるかというのが問われます。だから、オン、オフ、またオン、オフと常に切り替えていくことがすごく重要なのです。

 ゴールデンウィークも終わり、5月病が現れるシーズンです。これを読んでくださるみなさんの中にも、モチベーションの維持に悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
 私は、選手のときは「小さいモチベーションづくり」ということで、何か欲しいものを先に買って、それを励みに頑張るということをしていました。ただ、そのルーティンが始まってしまうと、グランドスラムでは試合の日程が1日おきなので、1日おきに買い物に行くことになるんですよね(笑)。引退した当初は、正直、どこにモチベーションを見つけるか難しかったのですが、今は、家を買ったので、それがモチベーションになって、「働くぞ!」と(笑)。

 オフも大切ですね。私も、あまり仕事が続いていると余裕がなくなってきます。ただ、長く休みすぎても、逆に疲れてしまうということもあるかもしれません。だから、バランスですよね。人間、ずっとオンでもずっとオフでもうまく機能しません。今、どういう状態なのか、自分の気持ちと向き合ってみると、休む時期なのかというのが分かるのではないかなと思います。

 だらだら過ごしてしまうと、オフでも意外に疲れは取れないものです。だらだらしているだけで時間が経ってしまうと「ああ、もったいなかった」って思いますよね。それが嫌なので、私は仕事がオフでもいろいろ予定を入れてます。非日常を取り入れるとか、脳の普段使わない部分を使ったりすると、一番リフレッシュできるんじゃないかなと思います。

 あと、愛犬の剛太には、そうとう癒されていますね。剛太との時間は私にとって、とても大切です。

<了>
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