ロッテに立ちはだかる“妥協なき集団”SK=2010年日韓クラブチャンピオンシップ見どころ
「野球の神」と呼ばれる指揮官の下、徹底した準備と反復練習
韓国2年目で14勝を挙げた門倉。かつての古巣・東京ドームでどのようなピッチングを見せるか 【ストライク・ゾーン】
18時半開始のホームでのナイトゲーム。昼過ぎに球場を訪れると、いつも乾いた打球音が聞こえる。このチームは昼12時か12時半が練習開始時間だ。そして、練習時間が限られるビジターでは、特打組数名が遠征先近隣の高校を借り、打ち込みをしてから球場入りする。日々鍛えられた成果は4年連続韓国シリーズ進出、3度の優勝が実証している。
「韓国代表が強いといっても、チーム単位ではまだまだ。ただSKは別格」と日本球界の海外担当スカウトたちは話す。SKは2005年からのアジアシリーズ、日韓クラブチャンピオンシップで、日本のチームに土をつけた、唯一のチームだ(07年・中日、08年・埼玉西武に勝利)。
「千葉ロッテが上がってきたらいいのに」
10月19日、韓国シリーズを4タテで決めた試合後、そう語った金星根監督。05、06年にインストラクター、巡回コーチとして在籍した古巣に、本気を見せる時がきた。
特別な思いで東京ドームのマウンドに上がる門倉
シャープなスイングの中距離ヒッターとして活躍した金宰ヒョン。今大会限りでの現役引退を表明している 【ストライク・ゾーン】
そして、もう1人は主将の金宰ヒョンだ。昨年の韓国シリーズ前日、今季限りでの引退を発表。今大会が本当に最後の試合となる。シャープなスイングの中距離打者として活躍した金宰ヒョンは、07年のアジアシリーズ決勝戦でも、中日・山井大介から追撃のソロアーチを放つ勝負強さを見せた。背番号7を背負うイケメンキャプテンはラストゲームでどんなバッティングを見せるのか。
SK野球の特徴は、打線では破壊力はないが、少ないチャンスを果敢な走塁と、高い作戦遂行能力で点をもぎ取る野球。投手陣は先発投手が崩れても、それを「1番手投手」と見て、適材適所の細かな継投でつないでいくものだ。シーズン通りのSKなら、一発勝負の今大会で高い集中力を発揮しそうだが不安材料はある。それは、過労と右顔面麻痺で金廣鉉が離脱。そして13日から行われる広州アジア大会の代表選手として、セットアッパー・鄭大ヒョン、クローザー・宋恩範、正捕手・朴勍完、セカンド・鄭根宇、サード・崔廷、センター・金江ミンの計7人がエントリーから外れているからだ。しかし、シーズン中も欠場者を代役が補う組織力で首位を守ったSK。悲願である日韓の頂点を目指し執念の野球を見せる。
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