韓国プロ球界で活躍する2人の日本人投手=門倉健、岡本真或リポート
門倉「奪三振王を取ったときの状態に似ている」
韓国プロ野球で2年目を迎えた門倉。開幕7連勝で4月の月間MVPを獲得した 【ストライク・ゾーン】
昨年、米大リーグ・カブスをシーズン前に解雇になり、4月途中、SKに入団した門倉は、ことしが韓国2年目となる。
「オフに日本の球団からの誘いもあったんですが、去年は韓国シリーズで敗れて悔しい思いをしました。金星根監督を胴上げして恩返しをしてから日本に帰ろうと、ことしもSKでプレーすることを決めたんです」
門倉はチームのエース・金廣鉉が故障で開幕エントリーを外れたことで、今季の開幕投手を任された。しかし、プレーボールからわずか4球目で2点本塁打を喫してしまう。
「試合前までは普段どおりだったのが、マウンドに立った瞬間、満員の観衆を前にテンションが上がってしまって、違う自分に変身してしまいました。いきなりホームランを打たれて『これからどうなるんだろう』と思いましたが、一発を打たれたことで冷静さを取り戻すことができました」
今季の門倉はここまで53回3分の2を投げて、打たれたホームランは開幕戦でのこの1本のみだ。「ホームランを打たれないことで大量得点されず、勝ち星を稼げていると思います」と、開幕戦を白星発進した門倉は5月4日まで7戦全勝。そして4月の月間MVPにも輝いた。
「去年のカブスのキャンプでは、十分に投げ込みできなかったんですが、ことしは1月のキャンプからしっかり準備ができたので、いいコンディションを維持しています」
また門倉は、今季から左右にボール半個分広がったストライクゾーンを味方につけた。そして低めにきっちり集まるコントロールがさえ、切れのあるフォークボールは打者の空振りを誘っている。奪った三振はリーグ2位の54個。
「ホームランが少なくて三振が取れているというのは、奪三振王を取った2005年の横浜にいたときと似ています。正直、連勝が続いたときは『次はどうなるんだろう?』と弱気にもなったんですが、その間、チームも16連勝して、勝ち続けるプレッシャーの中で投げられる野球人の幸せを感じました。それは勉強にもなったしシーズン序盤にこういう経験ができたことは、もっと緊迫した状況でも大丈夫だという自信にもなっています」
現在SKは2位に4.5ゲーム差をつけて首位を独走中。「監督を胴上げして、再び日本へ」。門倉はその目標に向け快投を続けている。