韓国プロ球界で活躍する2人の日本人投手=門倉健、岡本真或リポート

室井昌也

門倉「奪三振王を取ったときの状態に似ている」

韓国プロ野球で2年目を迎えた門倉。開幕7連勝で4月の月間MVPを獲得した 【ストライク・ゾーン】

 パ・リーグの打撃各部門で、韓国人助っ人・金泰均(千葉ロッテ)が好成績を残している一方、韓国で2人の日本人投手が活躍していることをご存知だろうか。その2人とはハーラートップタイの7勝(2敗)を挙げ、防御率3位(2.52)の成績を残している門倉健(元巨人/36歳)と、抑え投手の中で、唯一0点台の防御率(0.56)を維持している、岡本真或(旧登録名・慎也=元埼玉西武/35歳)だ。

 昨年、米大リーグ・カブスをシーズン前に解雇になり、4月途中、SKに入団した門倉は、ことしが韓国2年目となる。
「オフに日本の球団からの誘いもあったんですが、去年は韓国シリーズで敗れて悔しい思いをしました。金星根監督を胴上げして恩返しをしてから日本に帰ろうと、ことしもSKでプレーすることを決めたんです」
 門倉はチームのエース・金廣鉉が故障で開幕エントリーを外れたことで、今季の開幕投手を任された。しかし、プレーボールからわずか4球目で2点本塁打を喫してしまう。
「試合前までは普段どおりだったのが、マウンドに立った瞬間、満員の観衆を前にテンションが上がってしまって、違う自分に変身してしまいました。いきなりホームランを打たれて『これからどうなるんだろう』と思いましたが、一発を打たれたことで冷静さを取り戻すことができました」
 今季の門倉はここまで53回3分の2を投げて、打たれたホームランは開幕戦でのこの1本のみだ。「ホームランを打たれないことで大量得点されず、勝ち星を稼げていると思います」と、開幕戦を白星発進した門倉は5月4日まで7戦全勝。そして4月の月間MVPにも輝いた。
「去年のカブスのキャンプでは、十分に投げ込みできなかったんですが、ことしは1月のキャンプからしっかり準備ができたので、いいコンディションを維持しています」

 また門倉は、今季から左右にボール半個分広がったストライクゾーンを味方につけた。そして低めにきっちり集まるコントロールがさえ、切れのあるフォークボールは打者の空振りを誘っている。奪った三振はリーグ2位の54個。
「ホームランが少なくて三振が取れているというのは、奪三振王を取った2005年の横浜にいたときと似ています。正直、連勝が続いたときは『次はどうなるんだろう?』と弱気にもなったんですが、その間、チームも16連勝して、勝ち続けるプレッシャーの中で投げられる野球人の幸せを感じました。それは勉強にもなったしシーズン序盤にこういう経験ができたことは、もっと緊迫した状況でも大丈夫だという自信にもなっています」
 現在SKは2位に4.5ゲーム差をつけて首位を独走中。「監督を胴上げして、再び日本へ」。門倉はその目標に向け快投を続けている。

1/2ページ

著者プロフィール

1972年東京生まれ。「韓国プロ野球の伝え手」として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。また編著書『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』は2023年4月に「第9回沖縄書店大賞・沖縄部門大賞」を受賞した。ストライク・ゾーン代表。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント