“ギャップ”が魅力のトライゲッター、希望のハットトリック

ルリーロ福岡 リサラ・アマナキ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

ルリーロ福岡(以下、LR福岡)がクリタウォーターガッシュ昭島を迎えたホストゲーム。試合は27対54と大差で敗れ、開幕からの未勝利が続く。それでも、チームには希望があった。3トライを決め、攻撃の中心となったリサラ・アマナキの存在だ。

序盤にLR福岡が決定機を作ったが、その後は防戦一方の時間が続く。3対19と点差を広げられた前半37分、ついに反撃の狼煙が上がる。アマナキが相手ディフェンスを突破し、トライエリアに飛び込んだ。後半に入ると、LR福岡は17分、19分と立て続けにアマナキがトライを決め、点差を13点まで縮めたが、相手の組織的なディフェンスを最後まで崩し切れず、逆に差を広げられて試合は終了した。

アマナキの強みは、抜群の決定力にある。俊敏さとパワーを兼ね備え、この試合でも相手のわずかなスキを突き、確実に得点へとつなげた。「トライラインだけを見て走りました。でも、同時に味方のフルバックがカバーに入っているのも意識して、タイミングを見て外側に切り返しました」。

試合後のアマナキの言葉からは、冷静な判断力と状況把握の的確さがうかがえる。ピッチでは力強く躍動する一方で、普段は物静かで控えめな性格。そのギャップもまた、アマナキの魅力の一つだ。

この試合でアマナキの2本のトライをお膳立てしたのは前田土芽だった。外側のスペースを生み出し、アマナキへ的確にボールを託した。「アマナキはシャイだけど、試合では頼れる存在。練習してきた形で2本のトライを取れたのは大きな収穫」と前田は語る。また、豊田将万ヘッドコーチも、アマナキのプレーを高く評価した。「前半はジャブを打つようなプレーで相手を揺さぶり、後半は相手の足が止まるタイミングで自らフィニッシュまで持ち込んだ。チーム全体の動きも良かったが、アマナキの決定力が光った試合だった」。

LR福岡はいまだ未勝利。しかし、アマナキはすでに次の戦いへと気持ちを切り替えている。「ラインブレイクとトライでチームに貢献したい。今日の試合を踏み台にして、もっと成長する。とにかく勝ちたい。そのために全力を尽くす」。その言葉には、勝利への強い覚悟とチームへの熱い思いが込められていた。福岡の生活にも慣れ、美味しい焼き肉を楽しむ余裕も出てきたという。

次節、ルリーロ福岡は初勝利を懸けた戦いに挑む。次こそはアマナキのトライが、歓喜の瞬間をもたらすはずだ。

(柚野真也)

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