第11節浦安D-Rocks戦 今季初ナイターは22点差をひっくり返す逆転劇に
課題が残る前半と猛攻の後半、この11節を教訓に花開く時は近い
第11節の浦安D-Rocks戦、クボタスピアーズ船橋・東京ベイは33対22で勝利したが、その内容は不安と安堵、落胆と興奮、そんな真逆な感情が前後半で交差する80分だった。
試合後にフランヘッドコーチも
「なんて試合なんだ!と思うような内容で、ファンの皆さんは前後半を通してエキサイティングなラグビーを見ていただいたと思います」と振り返る。
試合開始の夜7時から、スタジアムを後にした9時まで、約2時間の間には様々な感情がこの秩父宮ラグビー場に凝縮された。そんな金曜日の夜だった。
今シーズン初の金曜ナイター、ビジターゲームで行われたこの11節は「deleteCマッチ」として開催され、スタジアムにはマゼンタカラーのベースボールシャツを着た観衆14,056人が集まった。前日から続く春を感じさせる陽気とともにピンクに染まった会場は、どこかお花見を連想させる賑やかな良い雰囲気を醸し出す。
だがここで見る花は、うっとりと美しい桜ではない。人と人とがぶつかり合い、流血すら厭わない負けられない戦いだ。
スピアーズがチャンスといえる機会があったのは、7分と23分の2度だけ。それ以外は終始自陣での戦いとなり、10分、21分とトライを奪われ、ペナルティゴールもあって0対15とスピアーズ無得点のまま前半を終えた。
D-Rocksはグラウンドを大きく使うアタックと、確実な1対1のタックルでスピアーズを苦しめた。
これについて、この日ゲームキャプテンを務めたバーナード・フォーリー選手は
「D-Rocksのプレッシャーやワイドな攻撃は称賛されるべきだ」と相手を認める。
しかも、試合直前に主力選手であった相手8番が交替した中でのこのパフォーマンスだ。相手の勝利に対する思いは、特別なものがあった。
一方スピアーズは、この悪い流れを前半で断ち切ることができないまま前半を終える。前節のブレイブルーパス戦同様に、いいプレーの連鎖が続かない展開だった。そしてそんな中、木田選手が負傷により交代し、追い込まれた戦況で後半を迎えた。
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しかし、その後のリスタートから流れは変わる。
アタック毎に前にでて勢いを作ることにより、前半まではつながらなったパスが面白いようにつながるようになると、連続攻撃の末に廣瀬選手が抜け出してスピアーズの得点が動く。
そこから13分にブルブリング選手のトライと同時に相手がシンビンにより一人減ると、17分にはモールでマルコム選手がトライを取り、あっという間に1点差まで迫る。
この1点を追う展開となったころには、会場の雰囲気が大きく変わり場内に悲鳴と歓声が混在した。
22分にはフルバックで出場していた押川選手が、得意のキックでゴールエリアへボールを転がすと争奪の末にリカス選手のグラウディングが認められ、26対22と逆転に成功した。
相手の一時退場の選手が戻っても、スピアーズの勢いは衰えない。
30分には、押川選手のトライラインぎりぎりに落とす絶妙なコントロールのキックを蹴ると、無尽蔵のスタミナを見せるリカス選手が相手に追いつく。バックスの早い上がりでボールを奪ったスピアーズは、トゥパ選手がグラウンド中央にトライを決め、ゴールも成功して33対22と勝利を決定づけた。
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22点差をひっくり返しての逆転勝利。
確かにエキサイティングな試合だったが、それでも前半の内容には課題は残る。しかし、それは同時に伸びしろでもあり、今後の試合のなかで課題を解消していけばよりいいチームに成長できる。
奇しくも次節は、スピアーズの創設時と同じデザインの3rd.ジャージーを着用しての一戦。
今こそこれまでの歴史から得た教訓を成長に変え、芽を出し花開く時だ。
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写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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