“あの日”味わえなかった歓喜のために。タックラーとして抱く覚悟
“あの日”以来、スターティングメンバーに繁松哲大が名を連ねた。
同じく秩父宮ラグビー場で行われた2月8日のディビジョン1第7節・三重ホンダヒート(以下、三重H)戦で、今季初出場を先発で飾った繁松は、前半24分に190cm/111㎏のパブロ・マテーラに強烈なタックルを見舞う。しかし、後頭部をグラウンドに叩きつけられる形になって脳振盪を起こしてしまい、そのまま救急車で搬送。チームの初勝利は病院のベッドの上で知ったという。
「あのタックルに入った時点で覚えていないですね。『かますぜ』くらいの感じでいったと思いますけど、(相手の)どこかが、がっつり(顔付近に)入ってしまって、目覚めたら天井を向いていました」
そう言って、その瞬間を振り返る繁松は「でも、しっかりときれいな入り方をしていれば脳振盪にもならなかったと思います」と続け、今節に向けて“タックラー”としての覚悟を決めている。
「もし、また同じ状況になっても逃げることはないですし、もう一回脳振盪になるとしても止めにいくと思います。どんなにデカい相手が突っ込んできてもタックルにいきます」
チームはその三重H戦で初勝利をつかんで以降、好ゲームを演じながらも2勝目が遠い状況が続いている。その中での先発復帰に繁松も言葉に自然と熱がこもる。
「前節は立ち上がりが悪かったので、今節は入りからいい雰囲気でできるように、自分のタックルやブレイクダウンで勢いを付けたいです。自分は体が大きくないですけど、だからこそ体を張るしかないですから」
“かます”準備はできている。あの日から約1カ月、今度こそはチームメートとファンと一緒に歓喜の瞬間を味わうために、そのクリーンで力強いタックルで繁松はチームに勝利を呼び込む。
(須賀大輔)
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